個性はビジネスでは得か、損か? 強烈な個人は組織では潰されるのか? 多くのビジネスマンに支持されている書籍『おれが浮いてるわけがない。』(五十棲剛史著)の著者で船井総合研究所常務が個性とビジネス・組織について赤裸々に語る。周囲から“浮いてしまう”ほど強い個性ながら、他人の10倍稼いできたコンサルタントが考える、いまの時代のビジネスマンの在り方とは?
今、日本の家電メーカーは苦戦している。
ほどほどに高機能なものは、新興国でもつくれるようになってしまったからだ。
そして、デザイン面でも、アジア諸国のブランドに負けつつある。
人件費の分だけ高価になってしまう日本の家電を買う理由が、なくなってきている。日本の商品には「絶対これがほしい!」という魅力が乏しいのだ。
これは、日本がいい意味で浮いていたのを、世界の基準に合わせ、浮かないほうに調整してきてしまったからではないだろうか。
かつてのソニーには、超能力研究所があった。上場企業なのに、超能力研究を大まじめにやろうとしていたのである。
実際に超能力が解明できるかどうかはわからないが、その姿勢がエッジのある商品を生み出していたのではないかと思う。
会社の業績が悪くなったときこそ、浮いている部署からの発想が大事になる。たんにコストとみなして、削減してしまうことほどもったいないものはない。
むしろ、1980年代にはマニアが好む商品として、カルト的な人気を誇っていたAppleが世界的な人気を博すのが今の時代だ。
個人的にはAppleに対し、もっとマニア受けする企業で居続けたほうが息が長くいられるのではないかと思うが、個性的な製品のほうが好まれるようになったことの象徴でもあると感じる。