個性はビジネスでは得か、損か? 強烈な個人は組織では潰されるのか? 多くのビジネスマンに支持されている書籍『おれが浮いてるわけがない。』(五十棲剛史著)の著者で船井総合研究所常務が個性とビジネス・組織について赤裸々に語る。周囲から“浮いてしまう”ほど強い個性ながら、他人の10倍稼いできたコンサルタントが考える、いまの時代のビジネスマンの在り方とは?
例えば、経営者を対象としたセミナーに登壇するとしよう。
普通は、なるべく多くの参加者に楽しんで話を聞いてもらいたい、できる限り多くの受注につながるといい、と思うかもしれない。
そこでどんな人でも楽しめる話を、と考えると、結果的に参加者の満足度が下がってしまうことがある。
100名の経営者が参加されるセミナーで、「3年で売上を3~5倍にする」というマインドを持った経営者は2割ほど。私はその20人に向けて、あえて絞った話をするようにしている。
すると結果的に、全体の満足度が上がることがある。受注率もいいのだ。
みんなに好かれようとするというのは、新卒採用でやたらとエントリー学生を集めることに似ている。それでは、かえって採用効率が悪くなる。
それならば、その企業にぴったりの学生が定員数だけ応募してきて、全員採用というのが一番よい採用なのではないだろうか。募集人数が10人で応募学生が10人しかいなかったら、その時点で採用担当者は真っ青だろう。しかし、その10人が能力も相性もその企業にぴったりなら、それに越したことはない。採用活動としては、大成功だ。
そのためには、その企業のメッセージや方針、社風などを、はっきりと打ち出す必要がある。そこがぼんやりしていたら、自分がその企業に合うのか、求められているのか、ということもわからないからだ。