個性はビジネスでは得か、損か? 強烈な個人は組織では潰されるのか? 多くのビジネスマンに支持されている書籍『おれが浮いてるわけがない。』(五十棲剛史著)の著者で船井総合研究所常務が個性とビジネス・組織について赤裸々に語る。周囲から“浮いてしまう”ほど強い個性ながら、他人の10倍稼いできたコンサルタントが考える、いまの時代のビジネスマンの在り方とは?
浮いている人の能力の項目をレーダーチャートにして表すと、ある一部分だけが異様に尖っていて、その他の部分は中央に集まっている、そんな図になるに違いない。
150点の項目と、30点の項目がある。それが、浮いている人だ。
すべてにおいて、80点をとれる人は浮かない。そういう人は、学校でもそれなりの成績を収め、就職活動もうまくいくだろう。
そして、企業のなかでも、そつなく業務をこなし、ある程度の実績を上げる。これまでの社会で理想とされていた会社員だ。
だからこそ、人はレーダーチャートをなるべく均等に広げようとする。
150点と30点の項目があれば、30点を80点に近づけようと頑張る。それぞれの項目で、均等に高得点をとれることを目指す。
テストであれば、それが有効な方法かもしれない。テストは100点までしかないからだ。
全項目で80点をとる人は、工場で大量のものを同じようにつくる産業が栄えていたときは、役に立った。言われたことを、言われたとおりにやれることが「優秀」の定義だったからだ。
しかし、社会は学校のテストとは違う。今や、全部が80点の人は活躍できない社会になりつつある。
物があふれ、廉価品が新興国でつくられるようになった今、求められるのは、アイデアや付加価値だ。
言われたことを言われたとおりにやれるだけでは、付加価値を出せない。
もっとも、言われたことを言われたとおりにもできない人も多いので、ある程度は需要があるかもしれないが、新興国の優秀な若者が入ってきたら、その部分は取って代わられてしまうだろう。