反応が薄くても、すぐに脈なしと決めない

きっかけは、エレベーターのたった2回の声がけでした。あの時、挨拶だけで終わっていたら。「反応が薄いから」と決めつけていたら。この出来事は起きていません。

私は、人見知りなところもあるので、話しかけられないこともありました。それでもこの経験以降、興味を持った人には、もう一度だけ声をかけるようにしています。

オフィスの廊下を話しながら歩いている
写真=iStock.com/Koji_Ishii
※写真はイメージです

もちろん、相手の反応をみることは大切です。明らかに忙しそうなときや、話しかけづらい雰囲気のときは無理をしない。

ただ、ほんの一歩、もう一度だけ踏み込むかどうかで、何も起きない1日になるか、それとも人生が動く日になるかが変わることがあります。人は、初対面では無意識に距離を取っています。だから1回の反応だけで判断するのは早いのです。

相手の本当の反応は、2回目から見えてくることもあります。気負わずもう1回声をかけてみると、意外な展開をしていくことがあるのです。

警備員にも道端の猫にも声をかける

挨拶は、特別な人だけにできるものではありません。実は、そのヒントは、もっと私たちの身近な日常の中にあります。

私の父は、誰にでも自然に声をかける人でした。ある日、一緒に区役所に行ったことがあります。車で入るとき、父は窓から警備員さんに「どうも~」と明るく声をかけたのです。私は思わず、「知り合いなの?」と聞くと、「いや違うよ」と一言。そのあと、警備員さんは、背筋を伸ばして、「お疲れ様です!」と頭を下げていました。たった一言の挨拶で、こんなにも相手の反応が変わるのです。

原田正美『頑張っているのに、あと1歩で報われない人へ 「選ばれる人」になる第0印象の習慣』(プレジデント社)
原田正美『頑張っているのに、あと1歩で報われない人へ 「選ばれる人」になる第0印象の習慣』(プレジデント社)

その帰り道、父は、道端の猫にも笑顔で「ニャオ」と声をかけていました。

挨拶には、その人の在り方がそのまま表れます。そして、思っている以上に人の心を動かす力があります。

挨拶は、一度だけ気合いを入れて上手にやればいいものではありません。相手によって態度を変えず、毎日の中で感じよく続ける。そうして身についた振る舞いは、いざという場面でも自然に表れます。

だからこそ、気合の入った1回よりも、感じのいい100回の挨拶です。その積み重ねが、やがて人生を動かす1回につながっていくのです。

(構成=小関珠緒)