考えるテーマは、3つくらいに絞ったほうがいい。普通に仕事していれば否応なく情報が流入してくるものだが、3つのテーマに関する情報以外は、徹底的に無視する。それでちょうどいいくらいだ。

3つのテーマを決めるのに、間違ってもリサーチなんてやってはいけない。自分にとって大切なテーマは、自分がもっともよく知っている。それを引き出すのに必要なのは自分との対話であり、「今年はこれが注目されている」といった情報ではない。

自分と対話するときは、“良し悪し”ではなく“好き嫌い”を追求してほしい。もちろん世の中には「人を殺してはいけない」といった普遍的な良し悪しがある。しかしそれらはたいてい刑法に書かれていて、わざわざ自分の頭で考えるまでもない。

好き嫌いは自己選択であり、誰かに強制されるものではない。好き嫌いで自分のキャリアをつくっていけば、選んだ道がタフであっても、明るく疲れることができる。環境を嘆いてブツブツ文句を言うより、そのほうがずっと楽しい人生になる。2014年は、ぜひそれを意識して自分との対話を始めてほしい。

楠木建氏の「2014年やるべきこと」リスト

【1】「いま」を見つめ直す

□違う空間(国・環境)にいる友人をつくる
□歴史の本を読む
□大変なのは「いまの日本」だけではないことを知る
□多彩な人と話す

【2】自分の頭だけで考える

□SNSから離脱する
□アイマスクをして視覚を遮断する
□PCやスマホの使用を制限する

【3】情報を取捨選択する

□取る情報を「良し悪し」ではなく「好き嫌い」で決める
□今年注意を注ぐテーマを3つくらいに絞る
□それに関係しない情報はすべてスルーする

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 楠木 建
1964年生まれ。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。
(構成=村上 敬 撮影=澁谷高晴)
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