裏返すと、30代で100分の1の人材になっていない人は、仕事への取り組み方や普段の生活に何か問題があると言わざるをえない。パチンコやケータイゲームばかりしていたり、月に一冊も本を読まない人は論外。そうした生き方を否定はしないが、自らそれを選んだ人にかけるべき言葉を私は持ちあわせていない。

希少性を高めるために重要なのは、次のステップだ。ある分野で100分の1になったら、次は営業ならマーケティング、経理なら財務というように、隣り合う分野にシフトして100分の1を目指す。2つの分野で100分の1の人材は、100分の1×100分の1=1万分の1の希少性を持つ。このかけ算が重要なのだ。

1つの分野で1万分の1の人材になろうとすると、9999人に勝たなければいけない。そのための努力は、とても1万時間では足りない。しかしかけ算を利用するなら、隣り合う分野に再度、1万時間を投入すればいい。そうして1万分の1の人材になれば、ビジネスマンとしての左右の足場ができる。年収400万~500万円は底堅く、すぐに年収1000万円も見えてくるだろう。

40代後半になれば、さらにもう一勝負だ。今度は違う分野で100分の1になり、3分野のかけ算で100万分の1の人材を目指す。100万分の1はオリンピックメダリスト級のレア人材だが、かけ算なら才能は関係ない。普通のビジネスマンだって十分に狙えるはずだ。

実際、私がそうだった。リクルートで営業とプレゼンの技術を身につけて100分の1になり、27歳からリクルート流のマネジメントを覚えて1万分の1になった。次に勝負に出たのは47歳。いままで身につけてきたことがノンプロフィットの組織で通用するのか確かめたくて中学校の民間校長になり、校長という仕事に1万時間打ち込んだ。そこでも100人に1人になれたと思う。あくまで目安だが、それくらいのレアさを持つと、1つの仕事で100万円ぐらい稼げるようになる。