米食の健康へのメリット
米食は、長年、日本人の健康を支えてきました。そのよい面を順に見てみましょう。
①脳の発達
脳の発達のために、米食はよい影響があるという報告があります。
日本の健康な290人の小児を対象とした研究で、朝食がご飯食の子どもと、パン食の子どもを比較したところ、年齢や性別、社会経済的状況やおかずの数などを調整しても、ご飯食の子どもの方が、
・認知機能に関連する脳の全灰白質の体積が優位に大きい
・総合的なIQが高い。視覚情報を認識する能力が高い
・言葉の記憶や言語の理解能力などに関係する領域(左側側頭回と左側下前頭回を含む領域)、注意や記憶、感情の認知、問題解決、運動制御などに関わる領域(両側尾状核)の局所の灰白質体積が優位に大きい
と報告されています。研究では、こうした違いの要因として、次のような仮説が挙げられています。白米と精白パンの違いには、血糖値の上がりやすさの指標「GI値」があります。
GI値が高いと、急激に血糖値が上がるものの、効果は一瞬、場合によっては低血糖を引き起こすリスクにもなります。GI値が低いと、血糖値は安定し、糖質エネルギーが安定的にニューロンに供給されるため、ご飯食の方が、脳の成熟度にポジティブな影響を与えることが考えられています(※2)。
低アミロース米よりおすすめの米
②血糖値のコントロール
糖質制限では悪者にされがちな米ですが、お米のタンパク質には、血糖値をコントロールしてくれる働きがあります。
白米に含まれるタンパク質や、それが分解されたペプチドが、血糖値をコントロールする消化管ホルモン・GLP‐1の分泌を促し、糖尿病の進行を抑制する作用があることが示唆されました(※3)。
③腸内環境の改善
また、お米の炭水化物は、腸内細菌の重要なエサになります。
米に含まれているデンプンは、小腸で消化されて人間のエネルギーになる一方で、小腸での消化吸収を免れて大腸まで届くことで、食物繊維のような働きをして、有益な腸内細菌のエサとなり、人に有益な短鎖脂肪酸をつくってくれることがわかっています。小腸での消化を免れるこのデンプンを「レジスタントスターチ」といいます。
食物繊維と違って、デンプン由来のレジスタントスターチは、短鎖脂肪酸の中でも酪酸を多くつくります。酪酸は、免疫機能や腸の壁の健康を保つために重要です。腸内に短鎖脂肪酸が合成されると、腸内環境が改善されます。
腸内の腐敗菌がタンパク質を腐らせてつくる有害な物質の生成も抑えてくれます。肉などのタンパク質を食べる際にも、ご飯のレジスタントスターチは有益に働きます。
ハレの日に食べる餅米は、レジスタントスターチになるデンプン(アミロース)が含まれていません。日常的に食べられてきたうるち米の中に含まれるアミロースが、レジスタントスターチとして働きます。
最近は、モチモチした食感を好んでアミロースが少ない低アミロース米が人気ですが、一方で「甘すぎてしつこい」「食事には合わない」などの声もあります。日々の食事との相性や健康を考えれば、日常食である昔ながらのうるち米を選ぶのがお勧めです。
※2 PLoS One. 2010 Dec 8;5(12):e15213. doi: 10.1371/journal. pone.0015213.
※3 「お米の化学」『食と医療』vol.2 2017 SUMMER-FALL

