腸内環境にも血糖値にもポジティブに作用

糖質を控えているから、お米は不要という方もいるかもしれませんが、ちょっと聞いてください。お米の制限は、本当に健康のためになっているでしょうか? 腸内環境のためにも、血糖値のためにも、むしろお米は相対的にポジティブに作用します。

まず、日本の主食は、米です。日本の風土に由来し、里山というシステムを守ってきた、その中心には、田んぼがあり、稲作があります。

「身土不二しんどふじ」という言葉がありますが、土地の風土に根ざした食べ物は、私たちを風土につないでくれます。大陸から伝来し、縄文時代には栽培が始まり、長い年月、受け継がれてきた稲作は、私たちの食の柱であり、健康を支え、日本独自の風土を守ることで、暮らしや文化を支えています。

さらに、米は、里に暮らす人々と、自然におわす神々を結ぶ大切な恵みでもあり、今でも秋になると、全国の神社で奉納され、祭りが開かれています。

日本の米の自給率はほぼ100%。一方で、日本の小麦の自給率は、令和4年で約15%、パン小麦の自給率はさらに低く、10%未満です。

小麦の生産は、大型機械を使って大規模な単一栽培で大量生産するアメリカ、カナダ、オーストラリアの3カ国が中心です。

こうした栽培は、表土が深く耕され、作物の単作化が進み、収穫後の農地が裸で放置されるので、土が風雨にさらされやすくなり、土壌侵食が進んでしまいました。また乾燥地で、水をひく必要がある灌漑農業では、水が乾いた後に土壌に塩分が蓄積して、耕作不能になる問題が起きています。

ジャレド・ダイアモンドの『文明崩壊』でも、かつての古代文明は、乾燥地において畑作のため過度な灌漑を行なったため塩害が発生し、崩壊した可能性が指摘されています。

日本でも小麦は、弥生時代には大陸から伝来し、平安時代からは稲作の裏作として、長く栽培されてきましたが、戦後、アメリカからの輸入小麦が増加し、国産は縮小して、今に至ります。

現代小麦のグルテンは消化が難しい

私たちは小麦製品が大好きですが、大規模に大量生産される輸入小麦を使ったパンやお菓子を食べるということは、農業を通じて原産国の土壌を劣化させる可能性があります。しかも、環境負荷の高い小麦を、輸送コストをかけて運ぶことになります。

小麦の生産地であるウクライナの戦争が起きて、小麦の国際相場は急騰し、世界的に家計に大きな打撃を与えたことも記憶に新しいと思います。食料安全保障の観点からも、大部分を輸入に頼っている食料品に依存することにはリスクがあります。

さらに、現代の品種改良された小麦に含まれるグルテンタンパクは、古代小麦と比べて複雑な遺伝子を持ちます。また、古代小麦にはほとんど含まれていなかったグルテンが、たくさん含まれています。

木製の背景にパンやパスタ
写真=iStock.com/ minoandriani
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グルテンは、タンパク質が消化されアミノ酸にまで分解されれば、何の問題もありません。

しかし、現代小麦のグルテンは、消化が難しく、未消化のまま腸に届くことで腸に炎症を起こしたり、免疫を刺激して、アレルギーや自己免疫疾患を起こしたりします。半消化体のペプチドの状態では、モルヒネと似たアミノ酸配列を持ち、脳のモルヒネが結合する受容体を刺激するため、中毒性が高いことも指摘されています。

白血球には「HLA(ヒト白血球型抗原)」という遺伝子の型がありますが、その型によってグルテンに対する反応の違いがあります。