資格取得を目指して努力を続けた先に、待っているのはどんな現実なのか。ルポライターの増田明利さんによる『限界労働者』(彩図社)より、司法試験に合格するためにアルバイト生活を送る31歳独身男性の暮らしを紹介する――。(第2回)
理想は弁護士、現実は時給1300円バイト
仮名…山崎知也(31歳)
最終学歴…21年法科大学院卒
出身地…島根県益田市
現住所…東京都大田区
居住形態…賃貸アパート、家賃5万2000円
職業…アルバイト
収入…月収13万円(他に仕送り2万5000円)
家庭状況…独身
最近の大きな出費…銭湯の入浴券10枚 5500円
最終学歴…21年法科大学院卒
出身地…島根県益田市
現住所…東京都大田区
居住形態…賃貸アパート、家賃5万2000円
職業…アルバイト
収入…月収13万円(他に仕送り2万5000円)
家庭状況…独身
最近の大きな出費…銭湯の入浴券10枚 5500円
「5年前に勝手に描いていた人生設計では、今頃は渉外弁護士でバリバリやっていたはずなんですがね。現実は時給1300円のアルバイト兼司法試験浪人生、まっ、世の中は自分の思い通り、願い通りにはならないってことです。よく考えたら当然ですよね」
1日の半分近くをアパートや図書館の学習室で司法試験対策の勉強に費やしているという山崎さん。法科大学院を卒業して既に2回司法試験を受けたが不合格、自分でも尻に火がついていると悟っている。山崎さんは16年に上位大学の法学部を卒業、保険会社に就職してサラリーマン生活を送っていた。
ところが高校生になった頃から法律家になりたいという夢があり、保険会社を約3年勤めたところで依願退職、出身大学の法科大学院の入学試験を受けて合格し、法曹界を目指すことにした。
1日10時間勉強したのにまさかの不合格
「その頃は金銭的に余裕があったんです。保険会社に勤めていたときは給与水準が高かったしアベノミクスに便乗して株で儲けられたから」
コツコツ貯めた預金が約300万円、他に80万円を元手に株を転がして400万円まで増やしたところで売り抜けられたから、700万円以上の蓄えがあった。
「法学部卒業なので、修学期間は2年。うぬぼれていたわけではないけど、自信はあったんです」
法科大学院を修了したのが21年。その年の司法試験に挑んだが、短答式試験は通って、論文試験で不合格という結果だった。
「不合格は不合格だけど、短答式試験を通ったのはある程度の自信になったんです。論文対策に万全を期せば来年は大丈夫だと」
1日10時間の勉強を1年続けて2度目の試験に挑んだが、結果はまさかの短答式試験不合格。先には進めなかった。
「経済的にも危なくなり始めましたね」

