人類史上最大級の飢饉に発展
「もともと中国南部では、2.5エーカー(1万平方メートル強)の土地に150万個の種を蒔くのが標準だった」と『餓鬼(ハングリー・ゴースト)――秘密にされた毛沢東中国の飢饉』の著者ジャスパー・ベッカーは言う。「しかし1958年には、同じ2.5エーカーに650万個もの種を蒔くことが義務付けられた」
一緒に植えられた植物は肥料や土の栄養を奪い合う、という事実が発覚したときにはもう遅すぎた。苗は枯れ、土地は痩せ、中国史上最悪の飢饉へと発展した。
現在でもその正確な規模は明らかになっていないが、歴史学者の推定によれば、中国史上のみならず人類史上においても最大級のこの飢饉によって、2000万人から4300万人が死亡したと言われている。
ルイセンコの一件は、科学史上最もスキャンダラスな出来事のひとつと言えるだろう。これまで数多くの本(『Lysenko and the Tragedy of Soviet Science(ルイセンコとソ連科学の悲劇)』など)や論文が書かれており、知らない研究者はまずいない。
この一件は、仮説から失敗するチャンスを奪う危険性について、厳しい警告を発している。
しかし現代でも、ここまでの大事件ではないにしろ、同じような傾向が見られる。仮説や信念が失敗から守られているのだ。共産主義国家によってではなく、我々自身の手によって。
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