高年収層も「自分の時間は大事」
仕事に関する調査では、年収800万円台のサラリーマンの負荷の高さとそれに対する不満が目立った。
「残業、仕事の持ち帰りは多いか」(図6)という問いに対し「あてはまる」「ややあてはまる」という答えの合計が51%にも達した。この年収層は会社では中堅どころで部下がいる人も多いが、現場でも一番戦力として期待されているのではないか。
しかし働いた努力が「報われる」(図7)と考える人が9.5%と、最も少ないのも800万円台。努力に見合った承認が得られていないと考えており、年収1000万円の大台まであと一歩というところで届かない。そんな現状に疑問を感じながらも必死で働かざるをえない中堅サラリーマン像が浮かんでくる。
かつての日本と違い、会社に滅私奉公するだけでほかのことをまったく顧みない人には、社会や家族の承認もついてきにくい時代になっている。それを反映してか、「経営トップになりたいか」(図8)という問いに対し「なりたい」という答えが2割を超えたのは1500万円以上のみ。各年収とも7~8割の人はそこまでの出世を望まない。
「仕事より『自分の時間』を大切にしたい」(図9)人は、どの年収でも半数を超える。低年収層が多く300万円台、500万円台ともにおよそ8割。一方、スキルアップのために勉強をしている(図10)人は1000万円未満では1割程度しか存在しない。高収入層以外は、長期的な目線で上を目指すことに希望を失っているのかもしれない。
(構成=山本信幸)