40年間ほとんど変えていない
業務用として生まれてから40年、今や一般市場でも定番商品となったパストリーゼ。この間、配合の変更は2回のみで、ボトルデザインはほとんど変えていない。「洋菓子店の店頭に置かれても違和感がないように」という創業者の思いを実直に守り続けたからだが、それが「インテリアの邪魔をしない」と思わぬ人気につながった。
これまで、パストリーゼのブランド力を生かして違う商品を出してみようといった話も出なかったわけではない。しかし、掃除洗剤や消毒剤などに振り切れば、ジャンルとしては食品添加物ではなくなり、食品に使えなくなってしまう。田島さんは「その強みをなくしてしまっては本末転倒」と話す。
「当社のベースはあくまでも洋菓子業界にあります。ですから、食品にも使えるという点は、これまでと同様これからもずっと守り続けていきます」(田島さん)
テレビCMは打たない、安売りもしない
パストリーゼは、他社がそう簡単にまねできない点も強みだ。酒造メーカーならではのノウハウに加えて、77度というアルコール濃度は消防法上の危険物に該当する。製造には防爆プラントが、その周囲には消火活動用の広いスペースが必要で、製品を大量に保管するなら危険物用の専用倉庫も設置しなければならない。新規参入のハードルはかなり高いと言えそうだ。
こうした優位性も武器に、今後はさらなる販路拡大を目指す。年内には50mLボトルを商品化し、2027年にはドラッグストアやコンビニでの販売を開始する予定で、その先には海外進出もにらむ。軽井沢工場ができたことで、増産体制はすでに整っている。
ただし、今後も決してやらないと決めていることが2つある。「テレビCMなどマスメディアでの広告は打たずに、そのコストはすべて商品の品質向上に使う。品質を犠牲にした安売り商品も造らない。会長の方針です」と渡邉さん。
商品というものは安かろう悪かろうではダメだ。いいものをきちんとつくり続けていればお客様は必ずついてきてくれる。そして、その商品を本当に必要とする人が必要なお金を出して買ってくれる――。これは、ドーバーグループの創業者で現会長の、和田泰治氏の言葉だという。
会長の言葉は、口コミでじわじわと広まり、時代のニーズと合致したタイミングで躍進をとげたパストリーゼの歩みとも重なる。ヒットの裏には実直なモノづくりの積み重ねがあるのだと、パストリーゼは改めて気づかせてくれる。
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