家計を支えている共働き妻の収入
30代では医療保険や共済のみという人が多いが、親の勧めでがん保険や郵便局(現かんぽ生命)の「養老保険」に加入しているという人も見受けられる。1996年4月1日以前に契約した養老保険なら予定利率が高くて“お宝保険”として継続する意味があるが、保障自体は不足しているケースがほとんどだ。
生命保険で確保しておくべき保障額は、世帯主が死亡した後、残された妻と子供が生活していくために必要な額から、遺族年金や金融資産などを引いた額である。したがって最も大きな保障が必要なのは、末子が誕生したときとなる。
最近の30代では出産後も共働きを続けるケースが多い。妻が専業主婦であれば、収入として見込めるのはパート収入の年間100万円程度。20年で2000万円程度だが、妻が年収300万円の会社員なら20年で6000万円の収入が見込める。それゆえ夫の必要保障額は小さくて構わないというケースが増えているのだ。
ただし、ここで気をつけたいのは夫の保険よりも妻の保険である。共働き家庭では妻の収入も住宅ローンの返済や教育費、生活費に多大に貢献しており、妻が亡くなると家計が立ち行かなくなる可能性が高いからだ。住宅ローンを借りる際には、債務者が死亡、または高度障害に陥った場合、ローン残高分の保険金がおりる「団体信用生命保険」に加入する。しかし、ほとんどのケースで夫が加入していて、妻が死亡しても保険がおりずにローンはなくならない。
また、子供のいる夫が死亡した場合、子供が18歳の3月まで妻と子供1人なら年101万2800円、妻と子供2人なら123万9100円の遺族基礎年金が給付される。しかし、妻に先立たれた場合、遺族基礎年金の給付はなく、子供に対して生前の所得に応じた遺族厚生年金が給付されるのみだ。妻が死亡した場合のほうが、経済的なダメージははるかに大きい。