リアル店舗の強みを打ち出す姿勢だ。ただし店頭価格への影響は出ている。すでに第2類は「ネットの最安値は、店頭より10~15%安い」と報じられた。病状改善効果が期待できる半面、副作用の強い第1類を販売する会社も目立つ。

それでもウエルシアは強気だ。「店のスタッフは自分自身も消費者。その消費者目線で日々きめこまやかな接客を行う。ネット販売に、お客様の大半を奪われるとは思えません」(ウエルシアHD・池野隆光会長)。

店舗数1300店を超えるマツモトキヨシも自信を持つ。「価格下落は織り込みずみ。ネットで販売して、もし問題や疑問が起きても、ネット上のQ&Aでは解決できない。当社なら最寄りの店が、細かい相談にも対応できます」(松本南海雄会長兼社長)。

「高齢者にとって、店で会話するのもひとつの楽しみ。一定の客がネットに流れても全体に及ぼす影響は少ない」との声もある。

2万店で売り上げ6兆円! 戦国武将が描く「夢」

かつて、医薬品は医薬品メーカーが価格決定権を握る時代が続いた。そんな“メーカー小売価格”に反旗を翻したのがダイエーの前身・サカエ薬品だ。ダイエー1号店は「主婦の店・ダイエー薬局」という店名だった。後にスーパーへ業態転換したが、その「価格破壊」の意を汲んだ薬局経営者が、各地で狼煙を上げた。

化粧品も同様で、大手化粧品メーカーの契約小売店が隆盛だった時代、薬局では化粧品を取り扱えなかった。その呪縛が解けて化粧品の取り扱い幅も広がり、業界は拡大した。

つまり業界の成長キーワードは「安売り」と「規制緩和」だったが、これらが将来の浮沈も左右しそうだ。

「今後はネット販売に別の流れがくる。医薬品を買いにネットにくる『目的買い』ではなく、たとえばアマゾンで本や家電を購入したついでに医薬品を買う『ついで買い』だ。とくに常備薬をネットで買う人は増えるはず」

こう話すのは宗像守さん。日本チェーンドラッグストア協会事務総長にして、日本リテイル研究所代表。99年の協会設立に東奔西走し、改正薬事法の登録販売者制度の導入も働きかけた。