医師の「手術の技量」をもっとも知りうるのは、同業者である医師である。彼らでさえ「自らが患者なら診てほしい」と太鼓判を押す名医を紹介しよう。
「術中ナビゲーションシステム」を開発
“肺がんの東京医大”――昔から定着している言葉。肺がん手術数では全国でベスト10に常に入り、内視鏡治療でも世界の先端をいく。世界の肺がん学会の会長を2代目、3代目の教授が務めてきた。
2011年の肺がん手術数は222件。内訳は開胸手術が66件、胸腔鏡補助下手術が63件、完全胸腔鏡下手術が93件。
「胸腔鏡だけの手術は主に早期がんに対して行っています。進行がんで太い血管のそばに病変があるようなケースは開胸して手術をしています。それも、状況に応じて8センチ程度の小開胸と胸腔鏡と併用する胸腔鏡補助下手術と開胸主体の手術を適宜選択しています」
と、東京医科大学病院(東京都新宿区)呼吸器外科・甲状腺外科の池田徳彦主任教授はいう。伝統の外科の第4代主任教授である。そして、「患者さんの状態やがんの進行度を十分に考慮したオーソドックスなやり方をしていると思います」と、付け加えた。
開胸手術にこだわる施設、胸腔鏡手術にこだわる施設と、手術の多い病院には意外と偏りが見られるが、その中で極めてオーソドックスである。患者の状態にベストな方法を選択していることの証といって間違いないだろう。
「私たちは“質”を追求するとともに、1例でも多くの手術数を手掛けたいという気持ちもあります。さらに学問的・臨床的業績をあげ、評価されるように歩みます」
がん患者の最近の傾向として、国立がん研究センター中央病院や癌研有明病院といったがん拠点病院に集まるようだが……。
「がん患者さんががん以外の病気を持っているケースが多いと思います。糖尿病がある、心臓病がある、そういう方々は大学病院のほうが、専門科と連携したチーム医療ができるという点で安全だと思います」