② なぜ、人は「自分が納得しやすい話」をつくろうとするのか

人は、自分にとって不都合な問題が生じたとき、とかく、「○○のせいだ」と考えがちだ。その「他責思考」を鈴木氏は常にいさめた。

〈鈴木語録〉
自分にとって不都合な問題が生じたとき、「○○のせいだ」と考えがちなのは、自分を守ろうとする心理が働くからです。本当の原因は自分の中にあり、仕事のやり方を変えるべきなのに、なかなか変えようとしない。

自分にとって都合の悪い原因には目を向けず、「自分が納得しやすい話」をつくろうとするのです。

自分を変えるには、「こうありたい」という目標を持つことが大切だという。

〈鈴木語録〉
うまくいかない原因を外に転嫁し、「○○のせい」にしたら何の進歩もありません。

人は現状を変えることに抵抗します。同時に、自分を変えていこうとする習性も持っています。

前に踏み出すには、自分は「こうありたい」という姿を描くことです。過去や現在の延長線上ではなく、未来から「ありたい姿」を描くことのできる人は自分を変えることができるのです。

リーダーは「ティーチャー」たれ

③ なぜ、リーダーは「ポリスマン」であってはならないのか
鈴木敏文(著)、勝見明(取材・構成)『わがセブン秘録』(プレジデント社)
鈴木敏文(著)、勝見明(取材・構成)『わがセブン秘録』(プレジデント社)

1991年にアメリカのセブン‐イレブンが倒産したとき、再建を任された鈴木氏は、アメリカのオペレーション・フィールド・カウンセラー(OFC=店舗経営相談員)の問題点を見つけた。OFCは各自、何店舗かを担当し、店舗経営のアドバイスを行う。

しかし、アメリカのOFCたちは、加盟店を回りながら、マニュアルをもとに「あれはできている」「これはできていない」とチェックするだけだった。鈴木氏は、OFCたちにこういって意識改革を求めた。

「これまで君たちがやってきたことは、いわば、ポリスマンの仕事だった。これからはティーチャーの役割が必要だ。対話をともなった慕われるティーチャーにならなければいけない」と。

〈鈴木語録〉
会社の中にも、ポリスマン的な上司やリーダーはよく見受けられます。

部下のミスをチェックするのが上司の仕事だと考え、そのくせ、自分では答えを出せない。上からの命令をそのまま部下に伝えるだけです。

部下たちはミスを犯さないことを第一に考えて仕事をするようになり、挑戦する意識はまったく生まれない。組織は沈滞化していくでしょう。

では、「よきティーチャー」してのリーダーになるにはどうすればいいのか。

〈鈴木語録〉
よきティーチャーであるリーダーは部下に対し、常に自覚を促します。すべての行動は自覚から始まるからです。

よきティーチャーであるリーダーは、どんな伝え方をすれば、相手が自覚し、動いてくれるか、あらゆる面から考えなければなりません。

言葉だけではなかなか伝わらないときには、一緒に行動しながら問題解決を図り、手本を示して、自覚のきっかけにすることも大切です。

リーダーにとって最も重要なのは、部下が自覚をもって行動できるように徹底させる力、すなわち、徹底力です。

④なぜ、リーダーは「結果責任」をとらなければならないのか

部下には自覚をもって行動できるように徹底させる。一方、上司はすべての結果に対して責任を持たなければならないという。

〈鈴木語録〉
部下が仮説を立て、新しいことに挑戦するときにはリスクもともないます。うまくいかなかったらどうするかと本人は不安を抱くでしょう。

このとき、リーダーに求められるのは、部下の判断や行動についての結果責任はすべて自分でとることです。

仮に部下が失敗しても、この範囲なら組織は決定的な打撃は受けないという線引きの判断を行ったら、あとは部下に思いきり挑戦させる。

成功したら部下の成果ですが、もし部下が失敗したら、責任は上司がとればいいのです。

不確実性が高い変化の時代に求められるリーダーシップのあり方とはどのようなものか。

〈鈴木語録〉
変化の時代には、上司はまず組織としてどの道を進むべきか、素早く決断し、はっきりと方針や方向性を打ち出さなければなりません。

方針や方向性を示したら、個々の仕事については部下たちに権限委譲して思い切り挑戦させ、自分は情報を共有しながらサポートに回る。

部下が壁にぶつかり、守りに入ろうとしたら、追い詰めて気づきを与える厳しさも必要です。

いざとなったら部下に代わり、自分で出て行って答えを出せる能力も当然、持たなければなりません。

スピードが求められる時代だからこそ、上司がトップダウンで方向性を示し、あとは部下に権限委譲し、自分はよきティーチャーとして部下をサポートしていき、結果責任はすべて自分で負う。

それが変化の時代に求められるリーダーシップのあり方です。

トップダウンと権限委譲。サポートと結果責任。それを、セブン‐イレブン創業、弁当・おにぎりの販売、セブン銀行設立、プライベートブランド「セブンプレミアム」開発と、数々の新事業への挑戦で実践したのが鈴木氏本人だった。