⑤ なぜ、スタッフ全員で情報を「共有」することが大事なのか
セブン‐イレブンで、スタッフ間のコミュニケーションを重視する店舗では、グループメールや連絡用ノート、伝言板などを使って、スタッフ全員での情報の共有を図っているケースが多い。鈴木氏は情報共有の意味合いをこう語った。
〈鈴木語録〉
情報の共有が重要なのは、みんなが同レベルで経営方針を理解し、同じ考え方や価値観を共有するためです。
同時に公平性の面からも大切です。提供する情報の質と量を同じにし、公平にすることで、初めて能力を競い合うことができるのです。
つまり、情報を共有すると、協力し合う意識と同時に、適度な競争意識も喚起される。
その結果、協力し合いながら、成績を競い合うことで、店舗全体で大きな力が発揮されるということだ。
⑥ なぜ、「挑戦した部下の失敗」は叱ってはいけないのか
鈴木氏は、厳しい経営者だったが、挑戦を回避した部下をきつく叱責することはあっても、挑戦した結果、失敗した部下を叱ることはなかった。
〈鈴木語録〉
メンバーが挑戦した結果、思うように成果が出ずに失敗したとき、目標を達成できなかったという結果だけでは叱ったり、ペナルティを科したりしてはならない。
失敗という結果よりも、挑戦したかどうか、目標を達成していくプロセスが重要だからです。
部下が挑戦して失敗したら、それは1つの勉強になり、それを踏み台にして次の挑戦へとつながり、積み上がっていく。それをサポートしていくのがリーダーの役割です。
一方、部下は失敗をどう挽回すればいいのか。鈴木氏はさらなる挑戦を求めた。
〈鈴木語録〉
大切なのは失敗をバネに次の成功につなげることです。
「マイナス1」の失敗を挽回するには、「プラス1」の成功をするだけでなく、マイナス分を補って、なお、あまりある大きなプラスの挑戦を打ち出すべきでしょう。
挑戦した結果としての失敗を許容することで、部下のさらなる挑戦を引き出し、組織全体の挑戦力を高める。それが鈴木流のマネジメントだった。
(3)リーダーの心得
① なぜ、人は「自分の問題」になると保守的になるのか
鈴木氏は、組織のリーダーとして常に新しいことに挑戦した。なぜなら、顧客は新しいことを求め続けるからだった。
リーダーが仮説を立て、新しいことに挑戦していくとき、多くの場合、困難が伴う。すると、2つの心理が働くという。
〈鈴木語録〉
人間は矛盾した「2つの顔」を持っています。1つは、やるべき価値があると思ったら、困難であっても「挑戦しようとする自分」です。
もう1つは、本能的に困難から「わが身を守ろうとする自分」です。人は特に自分の問題になると保守的になりがちです。
日ごろ、世の中に対しては革新的なことをいっている人でも、自分の問題になると保守的になる。どうすればいいのか。
〈鈴木語録〉
自分を挑戦する生き方へと変えていくには、保守的な心理に妥協しないことが必要です。私の場合、自分で自分に妥協ができなかったので、常に挑戦を続けました。
人は妥協するより、「本当はこうありたい」と思っているときのほうが精神的に安定するものです。
守ろうとする自分があることも認めつつも、新しいことに挑戦しようと意欲を持ち続ける。それが人間本来の生き方ではないでしょうか。
