住宅瑕疵担保責任保険の開始!
多額のローンを組んで購入したマイホームが欠陥住宅だったらどうするか。自動車や家電なら、メーカーや販売店に要求すれば修理や新品との取り替えといった対応が期待できる。
だが、住宅の場合は事情が異なる。購入した住宅に明らかな欠陥(瑕疵)が見つかれば、売り主である不動産会社へ損害賠償や修理を求めることができる。とくに2000年4月以降に売買契約がなされた物件については、住宅品質確保促進法によって、引き渡しから10年間は柱や梁など構造耐力上主要な部分の瑕疵や雨漏りなどについて瑕疵担保責任を問えるようになっている。
一見すると自動車や家電なみの保証が期待できそうだが、盲点がある。一つは購入者側が「欠陥」の原因究明をしなければならないことだ。それには建築士など専門家に調査を依頼する必要があり、相応のコストを覚悟しなければならない。また、賠償責任を果たしてもらうには不動産会社に支払い能力があることが前提だが、欠陥住宅を販売するような会社は一般に資金力に問題がある。資力がなければ倒産するしかなく、倒産すれば賠償も修理も期待できない。
リーマン・ショック以降の住宅不況でマンションをはじめ住宅販売が落ち込んでいるが、一方で大幅値引きをうたう販売業者が増えている。そこで問題になりそうなのが「激安物件を買ったら欠陥住宅だった。しかし販売業者が倒産してしまった」という悲劇である。このときは、次善の策として建築業者に賠償を求めるしかない。
といっても、購入者に対して責任を負うのは直接の売り主である不動産会社であり、建築を請け負った工務店や建設会社ではない。しかし欠陥住宅をつくったという不法行為(民法709条)の責任はあるので、その点を追及するのである。ただ、この場合も雨漏りなどの欠陥と、具体的な工事内容との因果関係を購入者サイドが証明しなければならないため、責任をとらせるのは難しい。結果、不動産会社が倒産したら泣き寝入りをする被害者が多かったというのがこれまでの実情なのである。
そのような環境が09年10月からは変わるかもしれない。「住宅瑕疵担保履行法」が施行され、それに基づき、住宅瑕疵担保責任保険が始まるからだ。これ以降はマンション・戸建てを問わず新築物件を供給するすべての事業者が、保険への加入もしくは保証金供託を義務付けられる。保険に加入していれば、業者が倒産するとか連絡がつかない状態になっても、上限2000万円の保険金を購入者が受け取れる。
適用を受けるのは同日以降に引き渡しを受ける新築物件だ。すでに完成している建売住宅やマンションでも、引き渡しが10月1日以降なら対象になる。これを参考に購入のタイミングを考えてはいかがだろうか。
※すべて雑誌掲載当時