夜型・不規則生活の人に向いている断食法

夜勤や交代勤務による体内時計の乱れは、健康やメンタル面に弊害を及ぼすという研究結果を、これまでいくつも紹介してきました。しかし、世界では約2割の労働者が夜勤や交代勤務に従事しているといわれています。夜型の生活や不規則な生活を避けられない人が非常に多いという現実があります。

私はファスティングを応用することで、こうした不規則な生活が及ぼす悪影響を軽減できると考えています。その具体策が1日の中でファスティングを行う時間制限ファスティングと、勤務スケジュールや生活リズムに合わせて定期的にファスティングを取り入れる「断続的ファスティング」です。

なかでも、夜勤や夜遅くまで活動する人にとくにおすすめなのは、時間制限ファスティングと夜間の摂取を控える「夜間ファスティング」です。

夜勤の人は深夜の時間帯に食事を摂る機会が多くなります。この時間帯には固形物の摂取を極力避け、しっかりした食事は日中の明るい時間に摂るようにするのです。

実際の夜勤者を対象にした研究やシミュレーション環境での実験も行われています。夜勤条件下でも夜間を避けて食事を日中に寄せることで、血糖値の悪化や体内リズムの乱れを抑えられることが報告されています(※4)

※4:Centofanti, S., et al. (2025). Fasting as an intervention to alter the impact of simulated night-shift work on glucose metabolism in healthy adults: a cluster randomised controlled trial. Diabetologia, 68(1), 203-216
Chellappa, S.L., Morris, C.J., Scheer, F.A.J.L., et al. (2021). Daytime eating prevents internal circadian misalignment and glucose intolerance in night work. Science Advances, 7(49), eabg9910.

夜勤中に食べていいもの、いけないもの

米国疾病対策予防センター(CDC)の労働安全衛生研究所(NIOSH)は、夜勤の看護師に「深夜0時から早朝6時までの時間帯は食事を避ける」ことを推奨しています。夜勤中にどうしても食べる場合は、野菜サラダ、野菜スープ、果物、全粒粉パン、ナッツなど軽めで質の高い食品を選び、逆に糖分や脂肪分の多い食品、カフェインやアルコールなどは避けるべきだとしています。

バターとコーヒー
左)写真=iStock.com/Synergee、右)写真=iStock.com/manbo-photo
※写真はイメージです

夜勤が終わって睡眠に入る前には体内時計のずれを広げないためにも、食事は軽めにし、明るい光をできる限り避けると、眠りに入りやすくなり、翌朝の目覚めも整いやすくなります。

交代勤務の場合は勤務のない日には通常通りの食事をし、長時間の夜勤の間は食べずに過ごす「断続的ファスティング」が取り入れやすいかもしれません。不規則な生活の中に「食べない時間」を意識的に組み込むことは、交代勤務以外の方にとっても、乱れた体内時計を整える強力なツールになると思います。

私自身もそうでしたが、食事を抜くとお腹が空いて仕事に集中できないのではないか、と不安を抱くかもしれません。しかし、身体が脂肪燃焼モードに切り替わると、空腹を気にせず過ごしやすくなり、頭がクリアになってかえって仕事がはかどると感じる人も多くいます。

血糖値が安定し、脂肪から作られるケトン体の量が増えて、脳がそれを燃料として使いやすくなることが一因と考えられます(※5)

※5:Cahill Jr, G.F. (2006). Fuel metabolism in starvation. Annual Review of Nutrition, 26, 1-22.