92歳MRI脳画像からみる「脳が若返る家事」

日々、快適に暮らしていくためにも、家事は大切な作業です。ときに億劫なこともあるかもしれませんが、脳番地にとっても最上のトレーニングです。

「家事で脳が成長する」と私に教えてくれたのは生活評論家の吉沢久子さん。吉沢さんが92歳のとき、初めてMRI脳画像を撮らせていただきました。

その感想は驚嘆のひと言。脳内科医として「脳の成長に年齢制限なし」を確信すると同時に、80代を超えて50代並みの認知機能を保つ「スーパーエイジャー」の手本を得た気持ちになったものです。

吉沢さんのMRI脳画像から、脳が若返る家事の進め方が見えてきます。

なんといっても特徴的だったのが「海馬」と「小脳」の強さ。50歳あたりから萎縮するはずの海馬が全く衰えていなかったのです。元気はつらつとした海馬はスーパーエイジャー、センテナリアンの共通点です。

海馬は記憶、小脳は体の動きの記憶にも関わっています。大脳の10パーセントほどの大きさの小脳ですが、神経細胞の数は大脳をはるかにしのぎます。それは小脳が細かく複雑な体の動きを繊細にコントロールしているからです。

割れないように小鉢を重ねる、料理をこぼさず盛りつける、レンジの油汚れは力を込めてこすり、江戸切子はやさしく拭き上げる。こうした動きは過去の記憶(経験)で判断できます。

家事の内容と手順を記憶し、自身の体を使ってひとつひとつ片づけていく。家事は日常の一部ですから、「脳を鍛えるぞ」と意気込まなくても、丁寧に向き合うだけで脳を若返らせることができる貴重な活動なのです。

後回しにしている家事を積極的に片づける

毎日の家事は「早く効率的に」終わらせたくてパターン化され自動化した作業になりがちです。実は、パターン化した作業は脳を使わないため、脳は活性化されません。考える必要がない事柄は脳の成長に寄与しないのです。

家事に取りかかる前に「いつも通り」ではなく、「こうやってみようか?」と手順を少し見直してみましょう。一旦考えて記憶を掘り起こし、組み立てなおした作業手順で体を動かせば、スーパーエイジャーの脳に近づけます。

水の中の皿とボウル、そして食器用洗剤の泡
写真=iStock.com/Bowonpat Sakaew
※写真はイメージです

なにを見直せばいいかわからないという方もいるかもしれません。そんな方は面倒と「後回し」にしている家事を積極的に片づけてみましょう。面倒な家事ほど経験が少ないので、脳番地が一丸となって取り組むので若返りに役立ちます。

続けるコツ

・自動化している家事を「見直し」する

・「後回し」の家事を片づける