高支持率を維持し、快調な政権運営を続けている安倍政権。その屋台骨を支えているのが菅義偉官房長官。政権発足から消費税増税まで、総理を支える官邸の舞台裏を直撃した。

省庁横断的な仕事が多い官房長官

「官房長官は1度はやってみたいと考えていたが、考えていた以上に、省庁横断的な仕事が多い」と語る菅官房長官。
――安倍晋三首相が第2次内閣で官房長官に起用した理由は。

【菅】それはよくわかりませんが、ただ野党時代を含めて「もう1度、安倍政権を」と一緒に行動してきましたので、何となくそんな雰囲気でした。官房長官は1度はやってみたいと思っていましたが、実際は、考えていた以上に大変ですし、省庁横断的な仕事が多いですね。

――首相との交流はいつから。

【菅】きっかけは北朝鮮問題ですよ。2002年、北朝鮮の貨客船「万景峰号」の入港禁止の法律を議員立法でつくるときからです。安倍さんは小泉純一郎内閣の官房副長官でした。私は当選2回で自民党の総務になり、総務会で強く立法を主張しました。日本人を拉致した国の不審船が日本の港に年間15回くらい来ていましたが、止める法律は存在しませんでした。自立した国は、少なくとも入港を止める法律をつくるべきだと主張しました。

そのとき、私の発言を知った安倍さんから連絡があり、「全面的に協力したい」と言ってくれました。国家観があり非常に魅力的でした。こういう人をいつか総理大臣に、と思いました。その何カ月後かに、安倍さんは小泉さんと平壌に行き、全国でも注目される政治家になりました。

――リーダーとしての安倍首相はどんな個性の持ち主ですか。

【菅】しっかりした国家観と理念を持ち、同時に改革者です。改革意欲が非常に強いことはあまり知られていませんが、私が魅力を感じるところです。

また、強硬派と言われていますが、理念を掲げ、そこに向かう道は非常に柔軟な政治家と思います。最初から最後まで強硬一辺倒という姿は見たことがありません。