高支持率を維持し、快調な政権運営を続けている安倍政権。その屋台骨を支えているのが菅義偉官房長官。政権発足から消費税増税まで、総理を支える官邸の舞台裏を直撃した。
デフレ脱却なしに財政再建はできない
――次は消費税増税ですが、首相はいつ実施を決断したのですか。
【菅】内閣府が9月9日に4~6月期の国内総生産(GDP)の第2次速報値を発表し、実質経済成長率は前期比の年率換算で3.8%増と出ました。そこからじゃないですか。それまではきわめて慎重でした。8月に出た前期比で年率2.6%増という第1次速報値には、総理は「うーん」と思っていましたが、9月に3.8%増になりました。
去年8月に消費税増税が決まりましたが、当時の成長率はマイナス3.5%でした。誰が考えても、これでは増税は絶対に実施できません。安倍内閣ではいままでと次元の異なる経済政策を実行しました。日銀や財務省は反対で、無制限の金融緩和なんかやったら、金利が高騰するとか、いろいろ言っていましたが、総理は自分の意志を貫きました。
浜田宏一先生(イェール大学名誉教授、内閣官房参与)と本田悦朗先生(静岡県立大学教授、同)という2人の政策ブレーンの主張のとおりにやり、経済は予想どおり回復しているというのが総理の率直な思いですよ。
消費税率引き上げを決断する際、併せて打ち出す経済対策の内容が問題になりました。浜田先生と本田先生の2人の参与は、半分は税でやるべきだと言い、総理は法人税にこだわりました。財務省は、従来どおり財政出動中心でした。ここがものすごく違った。総理はデフレ脱却に対して強い思いがあります。