個人情報をめぐるトラブルも
③の個人情報保護法の適用除外になっていることから、具体的なトラブルになったこともある。
2022年10月21日、ローカル紙『神奈川新聞』が「横浜の集会参加者4人の個人情報 共産党関係者が不正流用」と報じた。
記事によると、「横浜市内の小学校の統廃合を考える集会に参加した保護者や地域住民の個人情報を、共産党の関係者が不正流用していた」という。
会場で新型コロナウイルス感染者が出た場合に連絡が取れるよう、参加者全員に氏名、電話番号、住所を記載してもらっていたが、その4人の個人情報を、集会の主催者メンバーでもある日本共産党員が書き写し、別の党員がこのメモを元に四人の自宅を訪問、集会の記事を掲載した党機関紙『しんぶん赤旗』を手渡したという。
主催団体は当該党員を退会させたうえ、個人情報保護法に抵触する可能性があるとして関係者に謝罪している。集会に参加し、訪問を受けた男性は「(不正流用され)保護者の間で『怖い』という声が上がっており、今後、会合から足が遠のくことを心配している。党のコンプライアンスの問題で調査と再発防止策を求めたい」と話しているが、この不正についての日本共産党神奈川県委員会からのコメントは発表されていない。
重大なことは、この事件は個人の過ちによって起きた偶発事ではないということだ。事件の要因は共産党が『赤旗』の読者や党への支持者を拡大するために、「つながり名簿」「マイ名簿」と称して全党をあげて国民の個人情報を収集する取組みをしていることにある。
36年前に勃発した『赤旗』vs.『週刊朝日』
共産党は、維新の藤田共同代表が赤旗記者の名刺をネット公開したことを非難し、謝罪を要求している。この件にも、私は「お前が言うか!」という感想しかない。
共産党こそ、気に入らないマスコミを攻撃するために、記者の氏名と所属部署を赤旗紙面に掲載し、公開したことがあるのだ。
少し古い話になるが、1990年7月15日に文京区・椿山荘で開催された共産党創立記念招待会でのことだ。当時、「老害」を指摘され、引退時期が注目されていた宮本顕治議長のコメントを取ろうと、『週刊朝日』の記者が会場に『朝日新聞』社員を名乗り入場した。
これに共産党は記者の氏名を書いたうえ、「肩書詐称取材」「きわめて悪質な詐称行為」「取材モラルが根本的に問われる」などと非難し、朝日新聞東京本社出版局長に抗議をしたのだ(『赤旗』1990年7月19日付)。
『赤旗』はその後、記者の名前入りの漫画まで掲載して、長期間、「マスコミの退廃」を糾弾するキャンペーンを続けた。しかし、抗議先が朝日新聞であることに示されているように、『週刊朝日』記者は朝日新聞社員であることは事実である。
私は当時、共産党発行の写真誌の記者だったが、「バカな抗議をするなぁ」とあきれたものだ。私自身、共産党の名前を隠して取材した経験がたくさんあったからだ。
『週刊朝日』側は共産党からの抗議に対し、「何とも見当違い『赤旗』の『週刊朝日』攻撃」という記事(90年8月24日号)で反論したが、もっともなことである。
いま、共産党は維新の会に対して、記者の名刺公開が「報道への威圧」「犬笛」などと非難をエスカレートさせているが、そうした記者の氏名公開によるマスコミへの威圧は、共産党のほうがずっと前からやってきた手法なのである。



