フルサービスから、カフェテリアへの変換

例えば、僕がディレクションした自社のCMでは、一度もタレントさんをカウンターで食事させていない。必ずテーブル席での食事シーンとし、牛丼を召し上がるシーンでは、丼の横に必ずサラダを添えてもらうよう依頼した。もちろん、この程度のことで急に女性客やファミリー層が増えるわけではない。だが、そうした小さなことを、水滴が岩を穿つように、コツコツ、コツコツと、10年積み上げていった。

その中でも、顧客層や利用シーンの拡大に最も大きく貢献したのは、新フォーマット店舗、クッキング&コンフォート(C&C)タイプ店舗の開発だ。メディアでは「黒い吉野家」などと呼ばれた店舗である。

まず試してみようと決めたのが、サービス方式の転換。バーガーチェーンやカフェチェーンのように、キャッシャーでご注文いただき、お料理はお客様ご自身で運んでいただいてお好きな席でお召し上がりいただくというカフェテリア方式へ。「うまい、やすい、ごゆっくり」のコンセプトを、単に一商品だけではなく、店舗全体のコンセプトへと拡張する。