上司と行動するときには、第三者の視点を意識しなくてはなりません。つまり、自分と上司の関係が他人からはどう見えるか、ということです。スーツ姿の男性同士であれば、どこからどう見ても「ビジネス」なので、気にする必要はありません。しかし、日本に多い「男性の上司と女性の秘書」という組み合わせでは、あらぬ誤解が生じないとも限りません。誤解が生まれるスキのない行動をとるのも、プロの秘書としての大切な心がけです。

たとえば2人で出張に行くとき、新幹線で隣同士の席に座るのは間違いです。上司がグリーン車に座るなら、秘書は前後どちらかの車両の席をとります。たとえ社長秘書であっても、秘書は一般社員なので、ランクを1つ下げて当然です。隣の車両であれば、必要な場合はすぐに駆けつけることができるので、上司が困ることもありません。もし上司が「近くにいてもらったほうが安心だ」というのであれば、同じ車両に席をとっても構いません。しかし、上司のイメージを考えれば、隣の席は避けるべき。どんなに上司が有名でも、その秘書が知られている企業はほとんどありません。他人から見れば、「女性と2人で新幹線に乗っていた」という“事実”しか残らないのです。

出張中の宿泊先にも同じことが言えます。上司をホテルまで無事に送り届けるのは秘書の役目ですが、同じホテルに泊まる必要はありません。やはりここでも1つランクを下げて、近くの手頃なビジネスホテルに泊まりましょう。もし上司から「同じホテルにしてほしい」と言われても、違うフロアの部屋を押さえます。「女性とホテルにいた」という事実がどんな想像を生むのかは、お察しのとおりです。

2人で外を歩く、という日常的な場面でも、上司が異性であれば注意が必要です。「昼間から女性と歩いていた」と言われることのないよう、ひと目でビジネスだとわかるきちんとした服装をしましょう。また、会話をしながら歩く場合も、立ち位置は上司を案内しながら前を歩くか、後ろから上司についていくかのどちらかです。親しげに横並びで歩くことがあってはいけません。