危機に乗じて荒稼ぎする「中国の太陽光パネル」

中国はイラン戦争を通じて、通貨面に加え、製品の輸出でも利を得た。世界がエネルギー危機に揺れるなか、過剰供給による不採算に喘いでいた中国の再生可能エネルギー産業は、空前の商機を迎えている。

中国は3月、発電容量にして68ギガワット(GW)相当の太陽光パネル、セル、ウエハーを輸出した。ひと月でスペイン全土の太陽光発電容量に匹敵する量を送り出した計算だ。英気候変動専門メディアのクライメート・ホーム・ニュースが、英独立系エネルギーシンクタンクのエンバーの分析として報じた。

68GW相当という輸出量は前月比で2倍超に当たり、従来の最高記録を49%上回った。増加分の4分の3をアジアとアフリカ向けが占めており、特にアジア向けは前月比2倍の39GW相当にまで伸びた。

急増の背景には、4月1日に輸出税還付が終了する前に駆け込み輸出しようとした中国メーカーの動き(これによりパネルコストが9%上昇)もあるが、そこへイラン戦争による石油エネルギー価格の高騰が拍車をかけた形だ。需要は世界規模で広がっており、3月に中国製太陽光パネルの輸入で過去最高を記録した国は、世界50カ国に及ぶ。さらに別の60カ国でも過去半年の最高水準を記録したと、クライメート・ホーム・ニュースは報じる。

エンバーのシニアアナリスト、ユアン・グラハム氏は輸出量を、「文字通り桁外れに巨大だ」と形容。同氏は、「大きな部分を占めているのはエネルギー危機への対応だ」と指摘した。戦争による不安を、中国が強かに商機に変えた構図だ。

屋根にソーラーパネルを設置中
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アメリカの同盟国が割を食っている現実

中国が危機を商機とするその一方、アメリカに由来する海峡封鎖に最も苦しんでいるのは誰か。アメリカがライバルと位置づける中国ではなく、同盟国であるはずの日本と韓国が割を食っている。

2月28日のアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃に端を発し、イランとアメリカの双方がホルムズ海峡の封鎖で応じた。米下院の中国共産党に関する特別委員会の報告書によると、タンカー通航量は数日で約70%減少した。

保険各社が戦争リスクによる補償を打ち切ったことで、通航はさらに困難な状況となった。ブレント原油は、1バレル71ドル(約1万1000円)から一時は約120ドル(約1万9000円)に急騰したと報告書は指摘する。現在では約110ドル(約1万7000円)の水準で推移している

国際エネルギー機関(IEA)は、世界消費の約4日分にあたる史上最大の4億バレルを緊急放出した。それでも足りない。日本と韓国は手元の燃料を「あと数週間分」と数える事態に追い込まれ、南アジアの一部では燃料の配給制が始まった。