日本人の長生きのヒミツは腸内細菌にあり

個人の食生活は、食文化によっても影響を受けます。その人の好みだけでなく、国や地域、民族や宗教によってもある程度傾向があります。

日本人の食生活は、明治以降、洋食の影響が強くなり、戦後は主食である米の代わりに小麦を食べる人も増えています。ただ、それでも伝統的な食文化がまったくなくなったわけではありません。長く海外旅行に出れば、普段あまり意識していなかった和食が妙に恋しくなったりしますよね。

煮物と納豆、おひたし、みそ汁、白飯
写真=iStock.com/Yuuji
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そんな私たち日本人に特有の腸内細菌の環境があるという、興味深い研究があります。日本は世界でもっとも平均寿命の長い国のひとつで、肥満が少ないことでも知られています。日本人の腸内細菌がどうなっているのかが詳細にわかれば、より健康な腸を作るヒントが得られるかもしれませんよね。

東京大学の服部正平はっとりまさひら名誉教授らの研究によると、日本と中国、アメリカ、ヨーロッパ各国など12の国で人間の腸内細菌のデータを比較したところ、同じ国の人の腸内環境はそれぞれ似ていること、そして日本人が持っている特徴があることもわかったといいます。

日本人は90%、ほかの国では15%以下

日本人の腸内細菌には、こんな特徴があるそうです。

① ビフィズス菌やブラウチアなどが優勢で、古細菌が少ない
② 炭水化物やアミノ酸代謝の機能が豊富な一方、細胞運動性や複製・修復機能が少ない
③ ほかの国ではおもにメタン生成に消費される水素が、日本人ではおもに酢酸生成に消費される
④ 海苔やワカメを分解する酵素遺伝子を約90%の日本人が持っているのに対して、ほかの国では15%以下

これらの研究成果からわかるのは、国という集団で分けた場合、腸内細菌には明らかな特徴があること、そして、おそらく日本人が長寿であることの理由を日本人に特有のデータから求めることで、より強化することができるのではないか、という点でしょう。

日本人が食べてきたさまざまな伝統食を見直し、現代を生きる私たちがそれらを積極的に取り入れていくことも、腸内細菌を豊かにし、長生きするためのいい方法になりそうです。