※ノダカズキ『自然はすごい いつもの道が美しく見える5つの視点』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
人類の歴史はうんことともに
「人類の歴史はうんことともにあった」。これは、大げさな比喩ではありません。なぜなら、人間は生きている限り、必ずうんこをするからです。食べたら出す。赤ん坊でも出す。偉人も芸術家も大統領も、みんな平等に出す。うんこを通してこそ、私たちは最も根源的な「生きている」という事実に触れているのです。
それなのに、どうでしょう。うんこはトイレの中で完結することになっていて、流したあとのことは謎のベールに包まれたままです。どこに行くのか、どう処理されるのか、ほとんどの人は知らず、いや、知ろうとすらしません。「そんなもん知りたくない」という気持ちもわかります。
でも、それってちょっともったいない。だって、うんこには地球のこと、都市のこと、そして人間のことを知るエッセンスが詰まっているからです。
そもそも、ここ200〜300年で、うんこの量は爆発的に増加しています。理由は単純。人と家畜がめちゃくちゃ増えたからです。西暦1800年の世界人口は10億人ほどでしたが、2023年には80億人を突破。つまり、地球上のうんこ量は、ざっくり計算しても200年前の8倍に跳ね上がっているのです。
この膨大なうんこが、今どこへ向かい、どのように処理されているのか。その行方を追うことは、私たちの文明のかたちを知ることでもあります。そして「うんこを通して世界を見る」ことが、あなたの暮らしをちょっぴり豊かに、そしてクスッと笑えるものに変えてくれるかもしれません。
人が生涯に排出するうんこは7トン以上
さて、人は一日にどれくらい「うんこ」をするのか。誰しもが毎日していることなのに、意外と知られていません。世界トイレ機構(名前からしてもう好き)の創設者、ジャック・シムによれば、「平均的な人間は一日に一回排便し、120グラムから150グラムのうんこ、そして1.2リットルの尿を体外に出している」とのこと。まるで人間が“毎日出荷している生産工場”のように思えてきます。
ちなみに、ベジタリアンは肉食の人より排便量が多い傾向があるそうです。理由は、消化できない繊維をたっぷり摂っているから。特に豆類や海藻、キノコなどは“うんこ力”が高め。そう考えると、豆腐とひじきとわかめが並ぶ食卓は、排便の未来を担うゴールデンメニュー。仏教国には、意外とうんこが多いのかもしれません。
では、これを年間ベースで見てみましょう。たとえば1日に200グラムのうんこをすると仮定すると、1年間では、200グラム×365日=約73キログラム。
人ひとりが1年でスイカ10個分くらいのうんこをしていることになります。そしてもし、人間が100歳まで生きたとすれば、単純計算で合計は7.3トン。なんと、2トントラックで言えば4台分。トラック4台分の「成果物」を、一人の人間が一生かけて排出しているのです。「出すだけで7トン」って、すごくないですか? こんなに体内から何かを出せる生き物、なかなかいません。


