現実主義者で、ロマンチスト
引退後に雅が京都へ移ったのは、弟の家が京都にあったからだと思っていたんです。でも、ご親族の方から「雅は新婚時代を過ごした京都で暮らしたかったのです」とうかがい、亡き夫のことをずっと思っていたのだなと胸が熱くなりました。短い新婚時代を過ごした場所に、還っていったのですね。そこは重版時に修正を入れました。晩年は沼津で過ごし、1940年(昭和15年)に亡くなっています。
本書の中では雅に私自身の考えをかなり乗せています。和は患者に献身的に寄り添い、患者のために後先を考えずに走ってしまうタイプなので、私もふくめ現代の読者には共感しにくい部分もあるでしょう。だから「報酬も大事、これは仕事なんだから」という経済的自立の観点や、戦争についての和の態度について、雅に意見を言ってもらっています。そうすることで、看護婦のみならず働くとはどういうことなのか、使命感とは何なのかについて私自身も考えたかったからです。答えは読者の皆様に出していただければと思います。
(取材・構成=田幸和歌子)


