タイパ・コスパで習い事を辞めさせないで
ここで、塾の現場で子供たちを見ている立場から、親御さんに一つ気をつけていただきたいことを挙げます。それは、習い事を大人の「タイパ」や「コスパ」で評価して安易に奪わないで、ということです。
最近は、習い事を「受験の役に立つかどうか」という損得勘定だけで捉える傾向があるようです。しかし、親御さん自身も学生時代に部活動など、何かに打ち込んだ経験があるはずです。それを「受験に役立ったのか?」と評価されたら、嫌な気分になりませんでしょうか。
子供が純粋に楽しんでいる習い事や趣味は、将来に生きます。あくまでも塾講師という立場ではありますが、「受験に専念させるため」と取り上げてしまうのだけは、やめていただきたいと思います。
今回は水泳とダンスを例に挙げましたが、他の習い事でも共通することはあるでしょう。これらの習い事での姿勢は、そのまま「中学受験という過酷な戦いに挑めるかどうか」のひとつの判断目安になります。
タイミングの問題、「待つ」のも戦略
しかし、もしお子さんがいま習い事の壁にぶつかったときに、弱みを見せたり、行きたくないなどと態度を変えたりしても、「中学受験しない」「中学受験に向いていない」とは断定してほしくありません。それは単に「いまは中学受験という土俵に上がるタイミングではないかも」ということです。
中学受験の学習は、時に理不尽な結果を突きつけてきます。一生懸命に努力しても模試の結果が振るわないこともあれば、第一志望にご縁がないことだってあります。
そんなとき、親の意向だけで人間的な成熟度合いが途中段階の子を、むりやり受験に向かわせてしまえば、自信を喪失し、心が折れてしまうリスクがあります。過去30年の経験でも、生徒本人が頑張っているにもかかわらず、親の要求が高すぎて頑張り切れず、途中で心が折れてしまう子も見てきました。
私は、中学受験を始めるタイミングに「遅すぎる」はないと考えています。もし、今の習い事への姿勢を見て「時期尚早かもしれないな」と感じたなら、無理に塾へ入れる必要はありません。あえて「心が育つのを待つ」という選択をしてみてもよいと思います。
中学受験は数ある進路(針路)のひとつの過程です。今後の高校受験や大学受験もふまえて、柔軟な選択を考えてもいいのではないでしょうか。急がず、焦らない。「待つ」のも戦略的な判断だと思います。


