勉強への向き合い方がわかる「水泳」

あるお母さんは「苦しい水の中で根性をつけてほしい」とおっしゃっていましたが、まさにその通り。水泳は「タイム」という絶対的な数字でシビアに評価されます。

ですから、「コーチの教え方が悪い」といった他責の言い訳がいっさい通用しません。自分が練習をサボればタイムが落ち、真面目に頑張れば上がる。このごまかしのきかない世界で、他人のせいにせず自分を見つめ直せるかどうかが問われます。これは、中学受験と似たようなところがあるのです。

たとえば中学受験の算数などは、日々の積み上げがものをいう科目です。成績は右肩上がりに一直線に伸びるわけではなく、我慢の時期を経て、何かの歯車が噛み合った時に爆発的に伸びる。そういう例を過去に見てきました。

水泳をやっている子は、この「我慢の時期」を耐えればタイムが縮むという感覚が体に染みついているようです。教え子の中には「タイムがどんどん短くなるのが嬉しいし、自己肯定感が高まる」なんて話す子もいました。

また、教え子たちを見ていると、ライバルの存在も健全なメンタリティを育むことにつながっているようです。たとえば、大会・試合のときに隣のレーンに速い子がいると、自分のタイムも引っ張られて上がる、といった経験です。周りの仲間を「蹴落とす敵」ではなく「自分を伸ばしてくれる健全なライバル」として捉えられるのだそうです。

プールで泳ぐ子供
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“大人びた感覚”があるかわかる「ダンス」

習い事として人気が高まっている「ダンス」も、水泳とは異なるアプローチで成熟度がわかる例です。

余談ですが、実は今の学校ではダンス部が増加傾向にあります。学校側も、みんなで一つのものを作り上げる力を持った生徒を求めているのでしょう。

私が生徒たちと話していると、ダンスをやっている教え子たちは「自分が踊ることで誰かを笑顔にしたい」と実に明るく語ってくれます。つまり「自分の表現で他者に喜んでもらう」という他者への視点を持てているということでもあります。これは、精神が大人へと成熟し始めている立派なサインと見ていいでしょう。

そして、もう一つ、ダンスを通じて見えた成熟がありました。ある小学6年生の教え子に「なぜダンスをやっているの?」と聞いたら、はっきりと「ストレス解消です」と答えたのです。

小学生の日常は、友人関係や親子関係の悩みなど、大人が思う以上にストレスに満ちています。受験勉強が重なればさらに負荷は増えます。そうした中で、もし成績やテストの点数が上がることでしかストレスが解消されないとすれば、心が折れてしまいます。

しかし、純粋に体を動かし、仲間と一緒に踊って発散することで、また机に向かうことができるすべを知っている子は、精神的にもタフです。教え子たちの姿を見ていると、こうした大人顔負けの「ストレス解消法」を知っている子は、入試という極限のプレッシャーにも確実に強いと感じています。

ダンススタジオで子供たちのクラスのレッスン風景
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