求められるのは「自制心」と「謙虚さ」
こうした「正しさの罠」を乗り越えるために、マネジャーに求められるのは何よりも「自制力」と「謙虚さ」です。
たとえば、あなたが会議で「自分ならもっとよい結論を出せる」と感じたとき、その思いを即座に言葉にしてしまえば、きっとチームの雰囲気は台無しになってしまいます。メンバーは「なんだ、結局自分の中に答えがあるんだ」と感じてしまい、気持ちが萎えてしまいます。
まずは、部下の意見を最後まで聞き切ること。沈黙に耐えて、話をまとめようとする気持ちを抑えて、相手に考えを展開させる時間を与えること。これが「自制力」です。
また、メンバーの提案が自分の考えよりも浅かったり、非効率に思えたとしても、「それは違う」とすぐに否定せずに「なぜそう考えたのか」「どう工夫できそうか」と問いかけてみる必要があります。なぜなら、そこにあなた自身が気づかなかった視点や、新しい解決策が潜んでいることも少なくないからです。これが「謙虚さ」の実践です。
怒りを問いに変える
怒りを覚えたときにマネジャーに求められるのは、「怒りを問いに変える力」です。
たとえば、部下が明らかなミスをしたとします。そのとき、「なんでこんなこともできないんだ!」と叱責するのではなく、「何がこういう判断につながったんだろう」「このミスが起きた背景には、どんな構造的な要因があるのだろう」と問い直してみることです。
これは単なる言い換えではなく、視点の切り替えです。怒りをぶつけるかわりに、関心と探究心を持つことで、あなた自身の感情を制御しつつ、問題の本質に近づくことができます。
成熟したマネジャーは、感情の根底にある「期待」や「信頼」に目を向けます。なぜ、そこまで強い感情を持ったのか? その感情が生まれた背景には部下への期待や信頼があったはずです。
その期待を「怒り」ではなく、「信頼の再表明」として伝えることで、建設的な対話に変換できるはずです。
このほかにも、マネジャーとして伸び悩む人が陥りがちな問題行動はいくつかあります。図表1にまとめたので、参考にしてみてください。



