日本でも「親になれる人」が変わりつつあるのか

それでは日本ではどうなのでしょうか。

残念ながら、日本において子どもを持つ世帯に偏りが生じるようになってきているのかを検証した学術的研究は存在していません。しかし、その「きざし」は確認されています。

たとえば、独身研究家の荒川和久氏は、2003年から2023年にかけて、世帯年収300万~500万円の中間層の子どものいる世帯数が激減したと指摘しています。これに対して世帯年収800万円以上の経済上位層では、子どものいる世帯数にあまり変化はありませんでした。

この結果は、「お金がある世帯で子どもが持てている」と解釈できます。

選ばれた人が親になる社会でいいのか

この結果から日本でも、海外と同様の構図が静かに進んでいる可能性があります。

中間所得層で子どもを持つ世帯が減少する一方、高所得層では維持されているという事実は、「誰でも親になれる社会」から「選ばれた人だけが親になれる社会」へと変わりつつあることを示唆しています。

もしこの流れが続けば、「子どもがいる人ほど幸せ」という結果が今後強まっていくかもしれません。しかしそれは、子どもが人を幸せにしているからではなく、もともと経済的・社会的に恵まれた人だけが親になれているという「残酷な選別の結果」にすぎない可能性があるのです。

結婚や出産が個人の自由に委ねられる一方で、その自由を実現できる条件が限られていくなら、社会は静かに分断されていきます。

「親になれる人」と「なれない人」という、目に見えにくい格差が広がっていくからです。

では、このまま“選ばれた人だけが親になれる社会”へ進んでしまってよいのでしょうか。ここから先は、私たち自身が選ばなければなりません。