点滴より「口から一口」がいい理由
私が点滴のことを言ったら、「いやぁ、このままでいいんじゃないですか。できるだけ口に入れてあげて」と言われた。口数の極度に足りない方なのです、ドクターは。そうおっしゃるので、私もそのままにしていたら、とても穏やかに亡くなったのです。
後からちょっと心に引っ掛かって、「あの時、もう少し点滴をやったらどうだったのかな」と思ったりしました。そしたら、日野原重明先生にお会いした時、先生は全然そのいきさつはご存じないんだけど、その話になったんです。
人間にはホメオスタシスという、全体で調節する装置があって、点滴をするとそれを狂わせちゃうんだそうです。だけど口から入れると、一口でも入ったものはホメオスタシスに計算される。「だから、何でもいいから口に入れてあげて」っておっしゃったのです。
点滴だと、まずカロリー過剰になる。やり方によるでしょうけれど。それから、水分過剰になる。肺胞が水びたしになっちゃって、息がつらくなる。そのホメオスタシスをいかにも自然に、みんなが楽しそうにして、1さじでも何か口から入るということの方がいいとおっしゃったホームドクターはまったく正しかったのです。私、いい先生に巡り会った。口数の少ない方だけどなんていいドクターなんだろうと思って、感謝したんです。
「冷房が嫌い」も本人の自由でいい
舅が亡くなってから何日ぐらいか、10日か2週間か経ったら、豪雨となったのです。そしたら、それまで全然漏らなかった家が漏り出した。だから私、その家が頑張って、頑張って、もう息絶え絶えだったのに、頑張っていたような気がしたのです。舅を中に入れているために。
それまで家の維持もいい加減にやっていました。というのは、付き添いの方が通るところの根太がもし落っこちて、彼女が怪我したら困るでしょ。だから大工さんに言って、とにかく怪我人がないようにしてくださいって、根太直しだけお願いしてたのです。
姑は冷房嫌い、暖房嫌い。冷房なんか、ことに嫌いです。でも最後は、やっぱり冷房を入れないから、姑の場合は9月1日に亡くなったという考え方もあるのです。それについても、ベストはあり得ない。わからないから。でも、姑は自然の中で生きたいとおっしゃっていた。
義兄が出てきて、「あれは当人が選んだんですよ」という意味のことを言われた。だから、本当にチョイスです、当人の。それはベストかどうか知らないけれど、好みだったんだからと思いました。それで、その家を壊したのです。60何年、さすがに雨が漏り出したから。それを直す理由がないでしょ、住む人もいないから。



