スピーチなど人を動かすための文章には、絶対に正確に伝えなければいけないところ、「肝心かなめ」の言い回しが存在する。そこだけは、練りに練って推敲を繰り返し、文章を作り上げなければならない。とりわけ外国語であれば、ネーティブの部下に添削してもらうといった工夫をし、万全を期す配慮も必要だ。
コマツ 会長 坂根正弘●1941年、島根県生まれ。大阪市立大学工学部卒後、小松製作所(現コマツ)入社。建機事業本部長、社長などを経て、2007年6月から現職。「私は話す際にも言葉を選び、無駄を除くようにしています。国際会議で発言するときは、通訳するのが大変だと文句を言われています(笑)」
1991年、現地法人社長としてアメリカへ赴任したときのことである。いまよりはるかにひどい不況が待ったなしで進行し、現地6工場のうち3工場を閉鎖しなくてはならない状況だった。困ったのは、どのようにアメリカ人の従業員たちに状況を伝え、納得してもらうかということだ。
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