往年の作家の回顧展などで、直筆の手書き原稿を見ることがよくある。最初の原稿に原形をとどめないほど、推敲が重ねられた跡を目の当たりにすると、読み手に向けて発せられたすさまじいばかりの書き手のエネルギーに圧倒される。

その原稿を最初に目にした編集者も、書き手のエネルギーに突き動かされて、一字も漏らさず読み込んだことだろう。文章の原点を見る思いだ。

<strong>高橋 温 住友信託銀行 会長</strong>●1941年、岩手県生まれ。盛岡第一高等学校卒。65年京都大学法学部卒後、住友信託銀行へ入行。社長を経て、2005年6月から現職。「言葉が乱れると、国も社会も貧困の中に沈んでいく。正しい言葉を保つことが必要です」
高橋 温 住友信託銀行 会長●1941年、岩手県生まれ。盛岡第一高等学校卒。65年京都大学法学部卒後、住友信託銀行へ入行。社長を経て、2005年6月から現職。「言葉が乱れると、国も社会も貧困の中に沈んでいく。正しい言葉を保つことが必要です」

作家の文章とビジネス文書を単純に比較することはできない。ただ、ビジネス文書の中でも最も重要な位置を占める社内の決裁書類は、文章をもって組織に自分の意思を通し、上層部を説得する手段だ。言葉で人を動かすという点では共通するものがあるはずだ。