往年の作家の回顧展などで、直筆の手書き原稿を見ることがよくある。最初の原稿に原形をとどめないほど、推敲が重ねられた跡を目の当たりにすると、読み手に向けて発せられたすさまじいばかりの書き手のエネルギーに圧倒される。

その原稿を最初に目にした編集者も、書き手のエネルギーに突き動かされて、一字も漏らさず読み込んだことだろう。文章の原点を見る思いだ。