私は20代後半に一念発起して体系的なビジネスの勉強を始めて以来、年間100冊の読書を続けてきました。必ずペンを片手に部分理解と全体理解を確認しつつ読み進み、A4数枚に自分なりの要約を作成しています。
この本には子会社の社長時代に出会い、カネボウが産業再生機構の支援を受けているときにも読み返しました。平易な語り口で、随所に現れる奥深い言葉や光輝くようなフレーズに心揺さぶられる思いがします。なかでも「マネジメントの本質は矛盾と対峙することである」という言葉には、機構の論理と会社の論理というトレードオフの狭間で、この矛盾から逃げずにぎりぎりのところで意思決定せざるをえないときにとても勇気づけられ、マネジメントの深みに触れたように思います。