法律学の魅力を発見した瞬間
きっかけは、中学生のときにお父さんの本棚から引っ張り出して読んだ『リーガル・ハイ』という小説にのめり込んだことでした。しかも高校入試の受験勉強そっちのけで。
読んだことがある方はおわかりかもしれませんが、主人公の弁護士は、話が堪能で、頭の回転が速く、かつユーモア溢れる性格です。
あらゆる人に対して、エッジの効いた意見を即座に発する。絢斗くんは、文章を読むのはどちらかというと苦手でしたが、そんなことまったくお構いなし。中学生の絢斗少年はそんな主人公に心酔しました。そして、彼のようになりたい! と強く憧れたのです。
絢斗くんはドラマをユーチューブで改めて観て、主人公になりきり、話し方をマネることにこだわっていました。しかし「マネのクオリティー」に物足りなさを感じていました。その理由は明らかでした。この段階で絢斗くんがなりたかったのは主人公であり、弁護士ではなかったのです。法律の知識はゼロ。これではマネしようにも限界があります。
そこで登場人物の雰囲気に近づけようと、書籍やネットやSNSから、法律関連のニュースなどを一人で調べまくる日々が始まったのです。
やがて見よう見まねで、「一人裁判ごっこ」を始めました。ここで絢斗くんは法律学の面白さに出会うのです。
暇さえあれば、いつでもどこでも「一人裁判ごっこ」をしました。だんだん独りごとが多くなっていきます。この様子を見た親や先生から「大丈夫か?」と心配されました。
しかしこの「一人裁判ごっこ」をくり返すうちに、絢斗くんは初歩的な法律の知識を身につけていったのです。
「この裁判では、大阪大学の教授と中央大学の教授の分析は真逆なことを言っている」
「同じ法律なのに専門家によって、解釈はそれぞれ違う。それが面白い」
法律学の魅力を発見した瞬間でした。
興味のあることならどんどん筆が進む
さらに、法律学という学問の中でも、特定の分野に興味があることに気づきます。次第に熱中していた「一人裁判ごっこ」に物足りなさを感じ、自分なりの法律学の分析をノートにまとめ始めたのが、高校2年生の初めでした。
高校で毎日提出しなければならない日記に、法律学に関するテーマを一つ自分で設定して、分析した結果をしたためました。
「文章を書くこと、まとめることは苦手でしたが、なぜか興味のある法律のことに絡めると、どんどん筆が進みました」
当時の変化の驚きを絢斗くんは語っています。
並行して読破した法律関連の書籍、雑誌、参考書などもだんだんと増えていきました。
絢斗くんの日記の、あまりのマニアックさ、そして視点の面白さに驚いた高校の担任の先生が、中央大学の総合型選抜をすすめてくれたのです。ここで初めて「総合型選抜」という入試制度の存在を知ることになりました。
まずは志望理由や、自己アピールを書く必要があることを知ります。数千文字という決して短くない文章を、今まで書き溜めたノートを基に、ひとまず自分が学びたいこと、そして指導を受けたい教授について、楽しく一気に書き上げることができました。
それをベースに何十回にもおよぶ担任の添削を経て完成させました。
そして、その内容を完ぺきに自分の言葉で言えるまで面接対策をしました。試験当日はかなり緊張しましたが、それを上回るワクワク感があったと言います。
結果は見事合格。
大好きな法律学を大学で学べるチャンスを、自らの手でつかんだのです。

