【ステップ4】プロトタイプをつくる

顧客は見たことがない製品やサービスについては要件をうまく定義できない。だが、サンプルを見せればすばらしいフィードバックを与えてくれる。

本稿の筆者の一人であるディーンは、数年前ミシュランと一緒に、デトロイト自動車ショーのために新しい高性能タイヤのプロモーションをまとめた。狙いはバーチャル・リアリティ体験を生み出すこと。人々は特殊ヘルメットをつけてゴーカートに乗り込み、NASCARの元花形ドライバーが運転する、ミシュランの新タイヤをはいたスーパースポーツカー、ダッジ・バイパーに牽引される感覚を味わうのだ。

ディーンとミシュランはプロトタイプをつくって、ショーの3カ月前に米自動車用品工業会(SEMA)年次総会でテストした。すると、参加者たちは、ゴーカートではなくダッジ・バイパーに乗りたがった。しかも、ダッジ・バイパーに牽引されるのではなく追い越したがったのである。これらの点を修正したことには見返りがあった。ミシュランのブースは自動車ショーの参加者からアトラクションのトップ3に選ばれ、人気テレビ番組でも取り上げられたのである。これもみな、プロトタイプをつくることで最終バージョンでは何を調整する必要があるかが浮き彫りになったおかげだった。

持続可能なビジネス・プロセスを生み出すためには、反復可能で容易に理解できるステップもしくは段階から成る方法が必要だ。この4つのステップは、アイデアから製品化までのサイクルタイムを短縮し、アイデアの評価・分析を向上させ、イノベーション投資収益率(ROII)を高めてくれる。

(文=ディーン・ヘリング&ジェフリー・フィリップス 翻訳=ディプロマット)