【ステップ2】アイデアを捕まえる
イノベーションのキャッチ段階は多くの企業がつまずくポイントだ。
あるアウトドア用品販売会社の主要部門の幹部たちの事例を挙げよう。彼らはアイデア創出専門のコンサルタント会社に行って、アイデアをいくつか持ち帰った。その中には彼らの会社の別の部門に大きく役立つアイデアもあった。残念ながら、他部門との連絡を担当するマネジャーは、コンサルタント会社でのブレーンストーミングから帰ると、それらのアイデアを記した資料を部屋の隅に置き、そしてそれは今日までずっとそこにある。
これらのアイデアはキャッチされはしたが、共有されたり商品化されたりはしなかったわけだ。共有されないアイデアはけっして売り上げを伸ばす力にはならない。初期のアイデアのコンセプトは、議論や検討や育成が必要なのだ。ウェブベースのアイデア・キャッチ・評価ツールには、アイデアの書き込み、資料やリンクやコメントの追加、オンライン会議への参加、アイデアや人の関連づけ、評価スキームの作成、アイデアの比較などができるものがある。誰が何にアクセスでき、誰が外部の顧客や専門家を招いてアドバイスを頼めるかは、企業が管理する。そのようなツールはイノベーションのプロセスへのより幅広い参加を促し、貴重な新しいアイデアが部屋の隅で埃をかぶるような事態を防ぐ一助にもなる。
【ステップ3】アイデアを評価する
次のステップは透明で一貫性のあるシステムを使ってアイデアを評価することだ。評価基準はアイデアのカテゴリー、事業分野、イノベーションのタイプ、そして対象とする市場への適合性だ。たとえば製薬会社なら、調査を進める前に知的財産権の保護や侵害のリスクをチェックしなくてはならない。
一貫性のある評価システムのもうひとつの利点は、イノベーションの決定が記録され、それによってチームが成功したアイデア、成功しなかったアイデア双方について情報を共有できることだ。次々にイノベーションを行っている組織は当然何度も失敗するから、その知識を後で発展させられるよう保存しておくことが大切だ。今は実行されないアイデアが別の機会に使われる可能性は大いにある。
一貫性のある評価の枠組みは、バランスのとれたアイデア・ポートフォリオ、すなわちリスク、収益力、投資回収期間がさまざまに異なるアイデアで構成されたポートフォリオを組む助けにもなる。全社で同じ枠組みを使ってアイデアを評価するようにすれば、経営陣は短期的な成果を得るための漸進的イノベーション(低リスク中リターン)、中期的成果のための画期的イノベーション(中リスク高リターン)、新しい技術やビジネス慣行で新しい市場を切り開く可能性がある革命的イノベーション(高リスク超高リターン)にバランスよく投資できる。