「私たちが把握しているのは氷山の一角に過ぎない」

2009年末、当時のアリスター・ダーリング英財務相(故人)はバンカーへのボーナス課税計画を発表した際、米大手銀行JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)から英国国債への投資や新本社建設計画の撤回をちらつかされて恫喝された。

マンデルソン氏はエプスタインを通じ、ボーナス課税に関してダーリング氏を軽く脅すようダイモン氏に助言していたことがエプスタイン文書で発覚。「本当に卑しい。プロヒューモ事件では1人の男(陸相)の弱さと道徳的な弱さが露呈したが、これはもっと大きな問題だ」

「私たちが把握しているのはほんの氷山の一角に過ぎない。理由は分からないが、エプスタインは世界がかつて見たこともないような恐るべき国際的な情報交換を行っていたようだ。これからさらに多くのことが明らかになると思う。本当に多くのことが」と語る。

「フランスには事実上社会主義政党は存在しなくなった」

労働党と左派に危機が迫る。シンクレア氏はスターマー氏とフランス社会党のフランソワ・オランド氏を比較する。オランド氏は「成金大統領」と批判された右派現職ニコラ・サルコジ氏への拒絶反応という強い追い風に乗って大統領になった。

「オランド氏に実際に何をすべきかという計画も国に対するビジョンもほとんどなかった。そしてフランスには事実上社会主義政党は存在しなくなった。労働党も同じ運命を辿る可能性がある。今、労働党はスコットランドもウェールズも失い、労働組合運動もほとんど存在しない」

2つの状況が重なり、労働党は存亡の危機に瀕している。

外務省が難色を示したにもかかわらず、スターマー氏がマンデルソン氏を駐米大使に任命した事実はこの政権がいかに特定の実権者に依存し、国民の常識から乖離しているかを物語る。スターマー氏は早ければ5月の地方選後の「殺戮の季節」に首相の座を追われる可能性がある。

中道主義の信用はマンデルソン氏の腐敗でさらに失墜した。労働党は閉鎖的な集団によって支配され「秘密結社」のような組織に変質してしまったという。シンクレア氏は左派の未来を描く「知的思考の欠如」を繰り返し強調した。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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