「2040年に文系人材は35万人余る」

国もこの「文系人材の労働市場での飽和」には危機感を持っているようで、文系人材(ノースキル人材)をこれ以上世の中に増やしても仕方ないという認識のもとで改革を進めていく方針を示している。

10月に就任した松本洋平文部科学相は1日、報道各社のインタビューに応じ、理系人材の不足解消などに向けて「大学教育の構造改革に取り組む必要がある」と述べた。「大都市にある大規模大の文系学部に学生が偏っており、今のままだとさらに偏りが進行することが予想される」と指摘した。

2040年に理系人材が100万人不足し、文系人材は35万人余るとした経済産業省の推計に言及し「社会が期待する人材と日本の教育が輩出する人材との間に乖離(かいり)がある」との認識を示した。

日本経済新聞「『大学教育の構造改革に取り組む』 松本洋平文科相、文系偏重に懸念」(2025年12月1日)より引用(太字は筆者)

国から大学側には文系学部の整理を要求しているほか、定員割れを起こしているいわゆる「Fラン私立文系単科大学」には補助金・助成金をカットして暗に大学を閉じるよう促していく流れになっている。全国に散在するFラン大学は「大学教員」という雇用を創出するためあるいは天下り文部官僚を養う受け皿でもあったわけだが、さすがに若者がまったく入学しなくなったハコをそのまま放置する口実をこれ以上は作れなくなってしまった。

今後は大学改革で文系学部学科の統廃合が進められていく。残された文系学部学科でもAI関連の必修化を促進していくという方向性が国から示されている。ただでさえ少なくなった若者を、AI化が進んでいく時代にまったくキャッチアップできていないノースキル文系人材として浪費するわけにはいかないからだ。

教室
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座学が得意な子なら高専がおすすめ

いま日本で小さい子どもを育てている親世代の皆さんに助言しておきたい。

日本の労働市場はいま劇的な構造的変化を迎える過渡期であることを認識したうえで子育てをしたほうがよい。「なんとなく普通科の高校、なんとなく文系の大学に行っておけばいい」くらいのノリで、子どもを私立大学の文系学部に進ませたりすると、本当にあとで大変なことになってしまう可能性が高い。

2020年代以降の子育てでは、子どもは基本的に「理系な頭とガテンの体」を持てるようなバランスで育てるのがよい。教育は理系寄りにしながらも、いわゆるブルーカラー職に就くことも可能な体力・メンタル・気構え・環境を整えてあげるということだ。

私は工業高校に進むことを強く推奨しているし、座学の出来がよい子なら高専がよいだろう。現時点ですでに工業高校や高専の求人倍率はともに20~30倍と選びたい放題だ。また「高卒じゃずっと貧乏のまま」といった仕事観は完全に時代遅れだ。さすがにアメリカの「ブルーカラービリオネア」ほど大げさではないにしても、待遇面でも学部卒を超えるようなところも当たり前に出てきている。