「事務職の求人減少」は止められない
「文系が就きたがる事務職の求人減少」のトレンドは今後も不可逆的に加速していく。AIやDXの普及による事務系の定型業務の消滅が最大の要因で、また事務系もひと昔前に想像していたようなバックオフィス業務だけでなく、高度な専門性やITリテラシーが必要になっており、コンサルティング、法務、経理、経営戦略などの高度な経営知識とリテラシーを掛け合わせた「専門事務」に置き換えられていく。これは日本だけでなく世界的なトレンドである。
人間が就ける数少ない「事務職」のポストには、経営コンサルや戦略コンサルなどでバックオフィス業務をやっていた人が中途で抜かれる形であてがわれ、かれらがAIを駆使しながらどんどん効率化している(残りのパイをさらに少なくしている)状況で、企業側からすれば、いまさらノースキル文系新卒を事務職として採用する理由がまったくなくなっている。
「理系」が文系の上位互換となっていく
もっとも、一般的な大卒の事務系が完全に消えるかというとそうではない。ただしどうしても事務系を採用するという場面では今後は「生産関連事務」が中心となっていく。とくに製造業を中心にその傾向が顕著になる。
生産関連事務とは、その会社の生産現場で働く人を管理したり、あるいは製造工程をチェックしたり、生産拠点からのロジスティクスを手配したり、子会社や下請けの責任者と折衝したり、取引先と密なコミュニケーションを取ったりといった、現場職・管理職・営業職をすべて兼務するタイプの事務職のことだ。事務と名を冠してはいるものの、どちらかというと「現場職」の成分が強めだ。
生産関連事務は事務職のなかでもやや特殊なカテゴリで、「自分の会社がどういう技術・商品を売っているのか」をその製造工程の段階からつぶさに知っている必要があるので、あえて文系を配属するメリットがない。どちらかというとそうした技術や製品のロジックに明るい理系人材をあてがったほうがパフォーマンスが良好となる。
ENEOSで起こっているのはおそらくAIやDXによるパイの減少だけではない。残された事務職が徐々に「生産関連事務職」相当になり、そこには文系より(すでに社内に在籍している)理系の人材を充填したほうがよいという経営判断があったからではないかと思料する。総務系や企画系職種も同様で、結局はITなど理系的スキルとハイブリッドさせなければ仕事が成り立たなくなっていて、こちらもすでにいる理系人材をローテーションさせたほうが効率的になっている。
理系職種の“花形”である研究系・開発系は理系院卒と高専卒が担い、生産関連事務は理系学部卒が中心になって担うというフォーメーションが組まれつつある。理系の学部卒が劣っているとかそういうことではなく、理系学部卒は院卒や高専卒よりも「文系の上位互換」としての役割を発揮してくれそうな、コミュニケーション能力的にもバランスのいい人材が多いからだ。

