次が、ザッケローニ監督である。私が観戦した部分だけでも、本田選手は2回ほどフリーキック(FK)を失敗していた。それでも3回目のボールを蹴るのはほかの誰でもなく、本田選手なのである。また一部のメディアも報道していたように、本人も3回目も蹴る気満々でボールを受け取っている。

失敗した選手に3回目のチャンスを与え、本人も別に動じることもなく、意欲満々でチャレンジに臨む。この勇気(ザッケローニ監督と本田選手本人)はどこからくるのだろうか。翻って、今の企業では、上司やリーダーは、2回失敗した若者に3回目のチャンスを与え、また本人もその課題(でも、とても重要な課題)を堂々とこなすことがあるだろうか。この点も考えてしまった。

グローバル化の成功例はJリーグにあり

まだある。今度は本田選手以外まで目を向けると、スターティングメンバー11人のうち、8人が海外のクラブに所属する日本人である。スタメンの70%以上が海外で、それも海外の一流チームで“働いて”いる。すべて世界標準で評価された日本人なのである。

昨今企業からは、日本人社員のグローバル化が遅れ、海外現地法人や買収した企業で活躍できる日本人が足りないと聞くことが多い。どうも若手が海外に行きたがらなくて……。グローバル人材の育成が急務です。そうした声をよく聞く。

Jリーグが結成されたのが、1993年。そこから20年でどうやってこれだけの数と質の“日本人グローバル人材”を育成したのか。日本人のグローバル化に成功している姿がサッカーの世界にはある。これも考えさせられた。