医師が本当にすすめる効果的な風邪対策
では、実際に風邪をひいたとき、私たちは一体どうすればよいのでしょうか。風邪対策の答えはシンプルです。とにかくよく寝て休むこと。風邪はウイルス感染ですので、結局のところ自分の免疫がウイルスを排除するのを待つしかありません。
免疫がしっかり働くためには、栄養と休息が必要です。薬で無理やり症状を抑えて仕事に行ったり、家事を続けたりすると治りが遅くなります。
ある大規模な調査では、睡眠時間が6時間未満の人は7時間以上寝る人に比べて風邪にかかるリスクが4.2倍も高かったという報告があります(※4)。逆にいえば、しっかり寝ることは最強の風邪対策なのです。
基本は、休息と水分補給、そして栄養です。その上で、どうしても症状がつらいときに薬を使うなら、総合感冒薬ではなく、必要な成分だけが入った「単剤」を選ぶことをおすすめします。じつは、OTC薬でも処方薬と全く同じものが単剤で買えるのです。私なら、こちらを選びます。
※4 Prather AA, Janicki-Deverts D, Hall MH, Cohen S. Behaviorally assessed sleep and susceptibility to the common cold. Sleep. 2015;38(9):1353–1359.
風邪のときに使えるOTC薬の賢い選び方
発熱や痛みがつらいときは解熱鎮痛剤です。アセトアミノフェン(カロナール、タイレノールなど)、イブプロフェン(イブなど)を必要なときだけ飲みます。これなら余計な成分を摂らずに済みます。
喉の痛みには、トラネキサム酸を試してもよいでしょう。エビデンスは限られていますが、副作用は比較的少ないので悪くない選択です。痰が絡むときは去痰薬(ムコダイン、ムコソルバンなど)を選びましょう。これも単剤で購入できます。薬の種類がよくわからないときは薬剤師さんに相談しましょう。
そして、鼻水を止める薬は基本的に不要です。鼻水はこまめにかんで出してしまったほうがよいでしょう。どうしてもつらいときは抗ヒスタミン薬ではなく、鼻うがいや加湿で対応するほうが安全です。
咳については、処方薬と同じようにOTCで売られている咳止めにも効果はほとんど期待できません。むしろ、市販の咳止めに含まれるデキストロメトルファン(メジコン)を大量摂取すると幻覚や多幸感といった精神作用が出ることがあり、若年層を中心に乱用事例が増えています(※5)。「市販薬だから安全」というのは誤解です。咳止めとしての効果も高くないことを考えると、安易に飲むべきではありません。
なお、葛根湯を選ぶ人もいます。明確なエビデンスはありませんが、体を温め発汗を促すという効能を考えれば、選択肢として悪くはないでしょう。
※5 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」

