笑うと副腎が刺激されてリラックスできる

母が教えてくれようとしたのは、こういうことだった。私が水びたしで泣いていたのは、転んだからではない。活発だったので、転ぶのはしょっちゅうだった。泣いたのは、転んではいけなかったのに転んでしまったという恥ずかしい思いからだった。

母は、恥ずかしいと感じたときに笑うよう教えてくれた。笑いには、痛みを忘れさせる不思議な力がある。また笑うと副腎が刺激される。副腎は恐怖や怒り、無関心や憎しみとつながっている。その下のほうには横隔膜があり、笑うとき、私たちは横隔膜を上げたり下げたりしている。

そうすると副腎も軽く揺れる。「ストレスや怒りを感じてない? 手放したいものは?」と問いかけてくる。経験からすると、リラックスしてためこんでいるものを手放すことで副腎の状態もよくなる。

羞恥心は、感情のなかでもとくに根を張りやすいのだ。あの夕食の席で母は、羞恥心にとらわれるのではなく、動いている感情に目を向けることで、恥ずかしさから抜けだすことを教えてくれた。

手を取り合うカップル
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99歳でも人の親切心を無下にして後悔する

また羞恥心というのは年齢と共に消えていくのではと思っている人がいたら、それは間違いだ! 102歳の今でも、私は恥ずかしい気持ちを手放さなくてはならないことはある。

99歳の誕生日にも、そんな経験をした。当時はまだ運転をしていたので、車でスーパーに買い物に行った。99歳らしく、ゆっくりと。それで目についたのだろう。年配の男性が近づいてきた。

「お手伝いしましょうか?」彼は言った。

「ありがとうございます。でも大丈夫です」

「いえいえ、ご遠慮なく。こう見えても、意外と力はありますから。86歳ですけれど!」彼は誇らしげに言った。

なぜか私はいらっとした。いまだにどうしてだったのかは、よくわからない。気がついたらこんな言葉を口にしていた。

「ふーん、私は99歳よ!」

そして男性をにらみつけた。その反応に、男性のほうはたじろいだ様子だった。何か親切な言葉をかけて、そのまま立ち去っていった。

私はトランクを閉め、運転席に座り、自分自身に対して怒りを感じた。どうしてあんな口のきき方をしたの? なんで対抗意識なんか? 親切に手伝おうとしてくれただけじゃない!

「グラディス、あなた、いじわるなおばあさんになってきている」

そう思った。落ち着かず、車を発進する気にもなれなかった。