また、公式イベントに登録し、提供されたツールを使って禁酒に取り組んだ人は、自主的に始めた人よりも1カ月の断酒を成功させる割合が高く、その後の飲酒量も抑制される傾向が強かった。

1カ月の断酒を通じて、長期的な節度ある飲酒習慣につながるとして、ストロウジャー研究員は次のようにも述べる。

「多くの参加者は、その後も飲酒量を増やすことなく、少ない状態を維持しています。(…)ドライ・ジャニュアリー(Dry January)は、アルコールとの関係を見つめ直す契機になります。自分の心身や人間関係、生活全体に与える影響を再考するきっかけになるのです」

さらに調査では、参加者の多くが「自分は平均以上に飲酒している」と自覚しており、従来の介入では届きにくい層にも断酒の効果を及ぼすことが明らかになった。

一方で、1カ月の断酒に失敗した一部の参加者のなかには、その後むしろ飲酒量が増加したケースも報告されている。

行動科学を専門とするスザンヌ・コルビー教授は次のように述べる。

「断酒は前向きな経験として再評価されつつあります。(…)現在では、アルコール抜きのライフスタイルを支える取り組みが広がっています。『素面(しらふ)でいたい』という意思や禁酒を選ぶこと自体が、かつてよりも社会に受け入れられやすくなっています」

その背景には、インフルエンサーたちがSNSで断酒のメリットを共有し、「飲まないこと」への偏見が薄れてきたこともある。

次のステップは「若年層」へのアプローチ

今後の課題として、より若い世代に合わせて最適化していく必要があるとストロウジャー研究員は語る。若年層は飲酒リスクが高い層の1つであり、これまで十分に対策がなされてこなかったからだ。

そのために、若者が飲酒を控えようとする動機や、それを継続できる要因や逆に阻害する要因を既存データから分析していくという。

なお、本研究で使用されたエビデンスの多くは「ドライ・ジャニュアリー」発祥地であるイギリスに偏っている。そのため今後はアメリカの被験者を対象に「完全断酒(ドライ/Dry)」と「節度ある減酒(ダンプ/Damp)」の効果を比較するランダム化比較試験(RCT)も予定されている。

【参考文献】
Strowger, M., Meisel, M. K., Uriarte, S., & Colby, S. M. (2025). A scoping review of Dry January: Evidence and future directionsAlcohol and Alcoholism, 60(5).

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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