論点は「減税が正しいかどうか」ではない

なぜ、いまこの視点が重要なのか。それは、日本が国家経営の大きな転換点に立っているからだ。高市早苗政権が掲げる「責任ある積極財政」は、単年度のプライマリーバランス黒字や歳出抑制を最優先してきた従来の考え方から距離を置き、成長投資を通じて経済全体の稼ぐ力を引き上げようとする姿勢を示している。その一方で、選挙を前にした消費税減税論が前面に出ることで、「成長投資の戦略」と「短期的な家計支援」が混同され、市場に誤ったメッセージを送っていないかという疑念も生まれている。

2026年1月19日、高市早苗首相は記者会見を開き、衆議院を解散し総選挙を実施する意向を表明した
2026年1月19日、高市早苗首相は記者会見を開き、衆議院を解散し総選挙を実施する意向を表明した(写真=内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

市場や格付機関が静かに突きつけている問いは、実にシンプルだ。それは「その政策は、将来の成長と税収につながるのか、それとも一時しのぎに終わるのか」という一点である。ここで問われているのは、減税か否か、緊縮か積極かというイデオロギーではない。借金を増やす理由が説明できるかどうか、そしてその説明が中長期の返済能力として成り立つかどうかである。つまり、いま問われているのは「減税が正しいかどうか」ではない。

日本という国が、借金を増やしながらも、返し続けられる国家でいられるのか。