また、定年後の心強い武器となるのが資格。ただし、取っただけで安心という資格はない。

「資格はあくまでもツールの1つ。そもそも『この資格さえ取ればどうにかなる』といった考えでは、再雇用や独立は難しい。資格は自分の経験を客観的に証明し、経歴を補強するものと考えたほうがいいでしょう」

キャリアカウンセラーで資格にも詳しい、いぬかいはづき氏は釘を刺す。

逆に、順調にキャリアアップしてきた中高年層は、「資格がなくても経験さえあれば認められる」と考えがち。「いまから資格を取っても遅いのでは」と躊躇する人もいる。しかし、これはこれで1つの落とし穴になる。

とかく中高年は、新しいことを学ぶ意欲がなく、柔軟性も乏しくて使いづらいと思われがち。そこで「資格を取ることで、自分の仕事を改めて体系立てて学ぶことにした」とアピールすれば、周囲の見る目も変わってくる。会社にとって有用な資格を在職中に取れば、リストラ対象から外される可能性も高まる。

では、どんな資格がいいのか。いぬかい氏は「人事労務畑なら社会保険労務士やキャリアカウンセラー、総務ならファイナンシャルプランナーや年金アドバイザー、経理なら簿記1級、さらに税理士や会計士というように、自分の経験に関連した資格を取るのが王道です」という。

ただし、すぐには自分のキャリアや職種に関連した資格が見つからない場合もあるだろう。そうした場合は、まず自分のキャリアの棚卸しを行いたい。

「意外な資格を選択したように思えても、そう決めた理由は以前から無意識のうちに楽しいと感じていたというような前段階があってのこと。それをキャリアの棚卸しで意識化していくべきです」と、いぬかい氏は話す。

実は前出の荻野氏も、自分に合った副業探しにおけるキャリアの棚卸しの重要性を指摘している。結局、副業、資格ともに自分の人生を振り返り、そのなかからベストの選択を行っていくことが最も大切なのだ。