メタンハイドレート版「固定価格買取制度」も
【山岡】これまでJOGMECや産業技術総合研究所が蓄積してきた技術、たとえば深海底の地層からのコアサンプラーなどの技術の民間転用なども考えていいのでは?
【保田】関連技術の水平展開ですね。エンジニアリング会社としてSubseaの設備や全体システムの最適化には興味がありますし、エネルギー事業者の目で、メタンハイドレートの掘削、生産、輸送、加工の技術を眺めたら、新しい可能性が見つかるかもしれません。先日、国家ビジョン研究会の委員会で、ちょっと話題に上ったのが、メタンハイドレート版の固定買い取り制度です。
【山岡】再生可能エネルギーに導入された「FIT」ですね。
【保田】まだ先の話でしょうが、日本に自前のエネルギーを定着させるには、そういう優遇策も必要ではないかと思います。
【山岡】いずれにしても、日本のエネルギー政策にメタンハイドレートというカードが加われば、外交、安全保障、産業政策すべてに自立的な軸ができるでしょう。
【保田】夢は力になります。モノづくりの新しい地平を拓くためにも、メタンハイドレート開発は、大同団結でスタートしたほうがいいでしょう。
山岡淳一郎(やまおか・じゅんいちろう)
ノンフィクション作家
1959年、愛媛県生まれ。出版関連会社、ライター集団を経てノンフィクション作家となる。「人と時代」「21世紀の公と私」を共通テーマにエネルギー資源と政治、近現代史、医療、建築など分野を超えて旺盛に執筆。主な著書に『気骨 経営者 土光敏夫の闘い』(平凡社)、『原発と権力』(ちくま新書)、『田中角栄の資源戦争』(草思社文庫)、『後藤新平 日本の羅針盤となった男』(草思社)、『成金炎上 昭和恐慌は警告する』(日経BP社)、『放射能を背負って』(朝日新聞出版)、『国民皆保険が危ない』(平凡社新書)ほか多数。